質量パラドックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 05:42 UTC 版)
1994年ごろ、新しいプレオンモデルがフェルミ国立加速器研究所 (Collider Detector at Fermilab : CDF) 内部の論文で提唱された。この論文は、1992–1993年の運転期間に検出された、予測されていなかった説明しがたい200GeVを越えるエネルギーを持つ粒子ジェットの過剰が観測された結果を説明するために書かれた。しかしながら、これまでの散乱実験はクォークおよびレプトンが10−18 m (または、陽子半径の1/1000) 以下のスケールの"点様"粒子であることを示している。一辺がこのサイズの箱に閉じ込められたプレオンの運動量不確実性は、プレオンの質量によらず約200 GeV/cで、アップクォークの不変質量より50,000倍大きく、電子の不変質量より400,000倍大きい。 ハイゼンベルクの不確定性原理によってΔxΔp ≥ ħ/2であり、このように一辺がΔxより小さい箱に閉じ込められたどんな粒子も箱のサイズに反比例して大きい運動量不確実性Δpを持つであろう。運動量不確実性Δpは粒子それ自身のサイズΔxより大きくなければならないため、プレオンモデルはそれらが作り上げている素粒子より小さい粒子を提案する。ここで、プレオンモデルは次の質量パラドックスを表現する。つまり、「どのようにしてクォークまたはレプトンを、巨大な運動量から生じるクォークやレプトンよりも何桁も大きい質量エネルギーを持つであろうより小さい粒子で構成することができるか?」という疑問である。このパラドックスは、プレオン間の巨大な結合エネルギーを仮定し、その質量エネルギーをキャンセルすることで解決することができる。
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