記憶と現在-永遠と鏡像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 06:19 UTC 版)
「鏡 (映画)」の記事における「記憶と現在-永遠と鏡像」の解説
タルコフスキーにとって、過去は記憶のなかに存在する現在であり、現在それ自身も、過去の記憶のイマージュの一つの複合である。このようにしてうつろい行く記憶のなかに「永遠」が存在している。タルコフスキー自身は「永遠」という言葉は使わないが、変わることのない何かが存在しているのであり、それは「鏡」に映る像のなかにその存在の証明を持っている。 『鏡』のなかで、父アルセニーの詩を繰り返し朗読するのは、作者タルコフスキーであるが、父と作者は鏡を通じて、互いに像となっている。母マリアと妻ナタリア(同じ俳優が演じている)も鏡像関係にあり、更に作者と息子イグナート(少年時代の作者とイグナートは同じ俳優である)も互いに鏡像となる。 タルコフスキーの「水」を中心とした自然描写の映像美は魔術的であるが、実は彼の映画の思想そのものが魔術的だと言える。遺作となった映画『サクリファイス (原題:Offret/Sacrificatio)』においては、この「存在の魔術」が、具体的に描かれることになる。 作中挿入音楽 ヨハン・ゼバスティアン・バッハ 『オルガンのためのプレリュード』,『ヨハネ受難曲』 断章 ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ 『スターバト・マーテル』 断章 ヘンリー・パーセル 『弦楽組曲』 テーマ音楽作曲:エドゥアルド・アルテミエフ
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