角換わり富岡流
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 02:39 UTC 版)
富岡英作によって考案され、2009年第3回朝日杯将棋オープン戦1次予選▲富岡 対 △金井で初めて指された。第1図の先後同形では先手が指せるとは言われていたものの、結論は出ていなかった。富岡流は第1図以降、4筋から歩を突き捨て、2、1、7筋と突き捨て、3筋に歩を突くヨニイナサンが多く指されている。3筋の歩突きに対して△同歩と取ってしまうと▲4五桂から崩壊してしまうため、△4四銀と指すのが定跡(第2図)。その後、▲2四飛△2三歩▲2九飛と飛車先の歩を交換する。後手は桂頭を受けなければいけないため△6三金と受ける。以下▲1二歩△同香▲3四歩△3八角▲3九飛△2七角成▲1一角(丸山新手の応用)△2八馬と進む。ここで、飛車の逃げ先は4九と6九があり、どちらも先手が指せるとされていた。しかし富岡流では▲4四角成△3九馬と飛車を見捨てて飛車銀交換する。ここまでは数局実践譜があり、▲3三銀から攻めかかる手順があるものの、後手勝ちだと結論が出ていた。そこで▲3三銀に替えて▲2二歩と打つのが富岡流である(第3図)。 1号局では、金井は第3図の▲2二歩に危機を察知し、△4二玉と早逃げしたものの、▲2一歩成△4三金▲3三歩成△同金▲3四桂5二玉▲3三馬△6二玉▲4二桂成と進んだ。やや縺れはしたものの、富岡が勝ち、この対局を境に一気に研究が進んだ。 ▲2二歩に△同金と取ると▲3三銀△同桂▲同歩成△4九馬▲2二と△4一玉▲7四桂△同金▲5三馬△5八馬▲7二歩△同飛▲6二金△4二金▲4五桂△5三金▲同桂成△6二飛▲同成桂で後手玉に必至がかかり(第4図)、先手玉に詰みはないため先手が勝勢であろうと考えられ、先後同形が出ることは減った。しばらくは後手で抗った者もいたが、結局、先手必勝で間違いないと結論付けられ、先後同型は姿を消した。そのため、後手は桂をはねる手を保留したまま、△3三銀として矢倉に入城する手や、後述の△5二金に替えて△6二金から△8一飛車に構える手などが指されている。 2011年のA級順位戦1回戦、千日手指し直し局の▲渡辺明 対 △郷田真隆戦では郷田が上記の定跡手順をそのままなぞって投了するという珍事が起きた。郷田は局後に「定跡とは知らなかった」と語った。 第3図 角換わり富岡流△持駒 飛歩四 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 王 桂 一 飛 金 歩 香 二 桂 金 歩 歩 三 歩 歩 銀 馬 歩 四 歩 歩 歩 歩 五 歩 歩 銀 六 歩 銀 歩 桂 七 金 金 八 香 桂 玉 馬 香 九 ▲持駒 銀63手目▲2二歩まで 第4図 富岡流指了図△持駒 飛角金銀桂歩六 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 王 一 圭 と 香 二 桂 歩 三 歩 金 歩 銀 四 歩 歩 歩 五 歩 歩 銀 六 歩 銀 歩 七 金 馬 八 香 桂 玉 香 九 ▲持駒 飛金歩83手目▲6二同成桂まで
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