補助的な変数を含む函数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 19:46 UTC 版)
函数を定義することには、変数を一つまたは多数、引数(英語版)として指定することが含まれる。補助変数を含む形で函数を定義することもできるが、ふつう補助変数はその函数のとる引数としてはリストしない。補助変数を含めて考えるとき、実際には一つの函数ではなく函数の族の全体を定めているのだと考えなければならない。例えば、一般の二次函数を f ( x ) := a x 2 + b x + c {\displaystyle f(x):=ax^{2}+bx+c} と宣言する場合、x はこの函数の引数を表すもので、a, b, c は「任意定数」であるものとするが、この a, b, c の値を一つ決めるごとに個々の特定の二次函数が決定されると考えることができるという意味で、a, b, c はこの二次函数の族のパラメータである。 函数がパラメータに依存して決まることを陽に表すために、パラメータを函数名に含めることができる。例えば、底 b-の対数を定義するのに定義式として log b ( x ) := log ( x ) log ( b ) {\displaystyle \log _{b}(x):={\frac {\log(x)}{\log(b)}}} と書けば、左辺の添字 b は今どの対数が用いられているかを指し示すパラメータである。このパラメータはこの函数の引数ではないし、例えば微分 (logb x)′ = d(logb x)/dx を考えるときなどには「定数」として扱う。厳密さを要しない場面では、慣習的な手段として(あるいは歴史的経緯から)函数の定義に現れるすべての記号をパラメータと呼ぶこともあるが、函数の定義においてどの記号を変数と見るかパラメータと見るかという選択を変えれば、その函数がどのような数学的対象であるかということ自体も変化しうる。例えば下降階乗冪 n k _ = n ( n − 1 ) ( n − 2 ) ⋯ ( n − k + 1 ) {\displaystyle n^{\underline {k}}=n(n-1)(n-2)\cdots (n-k+1)} の概念は、(k を定数(パラメータ)と見るとき)n を変数とする多項式函数を定義するが、(n をパラメータとして止めるとき)k を変数とする多項式函数ではない(実際、少なくとも非負整数しか引数に取れない)。このような状況をより厳密に言い表すには、典型的には(パラメータとしたい記号まで全部変数として扱った)多変数の函数 ( n , k ) ↦ n k _ {\displaystyle (n,k)\mapsto n^{\underline {k}}} を考察の最も基本的な対象として考え、カリー化などを用いてより少ない変数を持つ函数を定義することになる。 パラメータを含む函数の全体をひとつの「パラメータ付けられた族」(parametric family), すなわち函数の添字付けられた族と見ることはしばしば有用である。
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