被害を大きくした要因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/17 23:29 UTC 版)
「ボストン大火」の記事における「被害を大きくした要因」の解説
数多くの要因が、ボストン大火の被害を大きくした。 当時ボストンでは、建築に対する規制が行なわれていなかった。問題をはらんだ建築が進められても、その規制にあたる公的権力は存在していなかった。 当時の建物には、建物の価値の全額、ないし、それ以上の金額の保険がかけられていた。過剰な保険がかけられていたために、建物の持ち主は防火に優れた建物を建てようとはしていなかった。保険金目当ての放火も横行していた。 多くの建物が、燃えやすい木製のフランス風マンサード屋根をもっていた。火は、屋根から屋根へ急速に燃え広がり、狭い街路では通りを挟んだ向かい側にも飛び火した。火の粉や焼けた破片が飛び散り、さらに多くの屋根に火を広げた。 消防機関に通報する火災報知設備には、いたずらを防ごうと鍵がかけられていたため、ボストン消防局(Boston Fire Department)の出動は20分遅れた。 商業者たちは、屋根裏に置いた在庫には課税がなされなかったため、木製の屋根裏に、可燃性の高い、羊毛や繊維製品、紙類などの在庫が置かれがちになっていた。 中心市街地では、水道管が老朽化しており、送水圧も低かった。 消火栓の接続部の口径は規格化されていなかった。 商業地区では、消火栓や防火水槽の数が少なかった。 この年に北アメリカで流行した家畜の流行病、馬インフルエンザによって、ボストン消防局では馬が動員できない状態にあった。このため、馬車で運ばれるはずの消防装置を、ボランティアが歩いて持ち運ばなければならなかった。この点はしばしば、火災拡大の主因として指摘されるところであるが、大火後の検証によれば、消防隊の対応の遅れは、数分程度に留まるものであったとされている。 火事場泥棒や野次馬が、消火活動を妨げた。 蒸気機関の消防ポンプでは、中心市街地の高い建物の木製屋根に届く放水はできなかった。 街灯のガス灯や建物の照明用のガス供給は、直ちに止まらなかった。ガス管は各所で爆発し、炎を上げた。
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