袋薙刀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/09 15:09 UTC 版)
安土桃山時代になり、筑紫薙刀と同じように刀身の峰側に櫃(ひつ)を持ち、この部分に柄を挿し込んで固定して使用する形式の長柄武器が出現した。これらは「袋薙刀(ふくろなぎなた)」と呼ばれ、瀬戸内の水軍衆を中心に用いられている。 “袋”という名称であるが、「袋槍(ふくろやり)」とは違って刀身の根元がソケット状の「袋穂(ふくろほ)」になっているわけではなく、武器としての形状は筑紫薙刀とほぼ同じである。筑紫薙刀との違いは、刀身の形状が薙刀とほぼ同じ冠落造りや菖蒲造りの刀身形状を持つものから鎬の無い平造りのもの、ほぼ半月形に近い形状のものまで多岐に渡っていることと、櫃が二つあるものが多く存在することである。 通常の薙刀や槍と違い刀身と柄が容易に分離できる構造となっているのは、持ち運びの際に嵩張ることを避けるためである、との考察もあるが、長柄武器で持ち運びの際に嵩張るのは柄であって刀身ではないことから、この説には異論も出されている。水軍衆に多く用いられた武器であることから、艪や櫂を応急的に長柄武器として用いるための手段として誕生したのではないか、とも考えられている。 筑紫薙刀とは起源・発祥共に関連性はない、と考えられているが、何故ほぼ同形状同用途の武具が年代を経て出現しているのかについては判然としていない。現在のところ、筑紫薙刀と同じく農器具としての長柄鉈から発展したという説が有力とされているが、既存の脇差や短刀を長柄武器として用いるために櫃を付け足して後造の薙刀として用いたものが発祥であるとの説もあり、起源や発祥については解明されていない部分が多い。
※この「袋薙刀」の解説は、「薙刀」の解説の一部です。
「袋薙刀」を含む「薙刀」の記事については、「薙刀」の概要を参照ください。
- 袋薙刀のページへのリンク