行動論的ミクロ・マクロ・ループ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/18 01:01 UTC 版)
「ミクロ・マクロ・ループ」の記事における「行動論的ミクロ・マクロ・ループ」の解説
この節は、塩沢由典「慣行の束としての経済システム」から派生したミクロ・マクロ・ループ論を紹介する。これは、新古典派経済学と現代古典派とを対比するより大きな構想の一部として提示されたものである。 塩沢のミクロ・マクロ・ループ論は、進化経済学の全体構想のに基づいている。人間の経済行動は、消費者行動ひとつとっても、新古典派経済学が考えるように、個人の選好を前提として最大化として定式化することはできない。人間の現実的能力を考慮するなら、経済行動は定型行動・プログラム行動として定式化しなければならない。それは、長い経済の歴史の中で進化してきたものである。したがって、短期の経済過程を生成するものとして、個人・組織の定型行動を前提することはできるが、現在の経済状態と経済過程とは、長い歴史の結果として生まれたものである。すなわち、短期にはミクロがマクロを決定しているように見えるが、短期の分析で前提される定型行動は、長期の変異と選択の結果であり、そこではマクロがミクロを決定しているしたがって、社会科学の方法論としては、方法論的個人主義と方法論的全体主義の双方に問題があり、ミクロ・マクロ・ループを前提に全体像を構想しなければならない。塩沢の主張は、このように要約されると思われる。 井庭崇は、ミクロ・マクロ・ループを複雑系の特性の一つに挙げ、これは従来のシステム観にない特徴であるとしている。
※この「行動論的ミクロ・マクロ・ループ」の解説は、「ミクロ・マクロ・ループ」の解説の一部です。
「行動論的ミクロ・マクロ・ループ」を含む「ミクロ・マクロ・ループ」の記事については、「ミクロ・マクロ・ループ」の概要を参照ください。
- 行動論的ミクロ・マクロ・ループのページへのリンク