蛟竜号
別名:蛟竜號、有人潜水艇蛟竜号、蛟龙号、蛟龍號、蛟龙号潜水器、submersible Jiaolong
中国で開発された有人潜水艇。最大深度は7000メートル。2012年6月に7000メートル超の潜航を成功させたと発表されている。
蛟竜号は中国が科学技術の強化を目指し推進していた「863計画」の一環として、2000年代に開発がスタートした。設計および開発は中国独自の技術によるものとされている。2010年より試験潜航を開始し、同年半ばに3700メートルの潜航に成功、2011年に5000メートルを突破、2012年6月に7062メートル強まで潜ることに成功したという。
蛟竜号の7000メートル潜航は、それまで世界最深の潜航性能を持つ潜水艇に位置していた日本の「しんかい6500」を抜き、世界最深に到達したことを意味する。なお、しんかい6500は、1989年に深度6500メートル超の潜航を実現し、以後20数年間トップに位置してきた。
「蛟竜」の原義は、空想上の生き物で、竜として成長する前の幼い竜のことである。ちなみに、旧日本帝国軍が開発していた量産型の軍事潜水艦「甲標的丁型」も、通称「蛟竜」という。
関連サイト:
有人潜水調査船「蛟龍号」が水深7020メートルに到達、世界記録を更新―中国 - レコードチャイナ 2012年6月25日
蛟竜 (深海探査艇)
(蛟竜号 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/28 07:43 UTC 版)
蛟竜 | |
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蛟竜の模型
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基本情報 | |
種別 | 深海調査艇 |
運用者 | ![]() |
就役期間 | 2010年- |
建造数 | 1隻 |
要目 | |
排水量 | 水上: 22 t |
長さ | 8 m |
幅 | 3 m |
吃水 | 3.4 m |
推進器 | 電気推進 |
潜航深度 | 7000 m |
乗員 | 3名 |
特殊装備 | ソナーとサーチライト |
その他 | 活動時間: 12時間 生命維持時間: 3 x 12時間 |
蛟竜級潜水艇(Jiao Long, 蛟龙)は世界の海洋底の99.8%である水深7000m未満の海域まで潜れる中国の潜水艇である。 ハイテク技術研究発展計画である「国家863計画」の一環として開発された。
概要
シーポール級潜水艇と似たような仕様で2010年8月26日には最大深度が3759メートルに達し、中国は深度3500メートル以上の有人潜水技術を把握した5番目の国となった[1]。COMRA (China Ocean Mineral Resources R&D Association=中国大洋鉱産資源研究開発協会)が運用する[2]。
しんかい6500よりも耐圧殻の内径は蛟竜の方が大きく、耐圧殻の材料はチタン合金で耐圧殻の径が大きくなるほど居住性が良くなるが、圧力には弱くなり、小さくなるほど圧力に強くなる[2]。日本は安全に対して厳しいルールがあり、耐圧殻の安全基準が日本では設計深度×1.5+300メートルという構造強度基準で、しんかい6500では10,050mの深さの水圧に耐えられる耐圧殻の設計となっている一方、中国では国際標準化機構(ISO)部会に対し、6,000メートルの深度については適用圧力を設計潜水深度の1.1∼1.25倍でよいではないかと提案していて米国も設計潜水深度×1.25を適用圧力としている[2]。そのため、蛟竜の方が軽く、しかも大きな径でありながら深く潜れる。蛟竜は銀亜鉛電池を使用する[2]。 後部にX翼を備えていて十字では一枚のダメージで機能が半減するが、エックス型では75%が維持される[2]。
2011年には潜水艇母艦「向陽紅09」の水深7千メートル級潜水のための改良が完成した[3]。
2011年7月21日の試験潜航時(5,000mへの挑戦)には水深4027メートルの潜航テストに成功した[4] [5]。 2012年6月15日に、ドラゴン級潜水艇「蛟竜号」は水深6,671mに到達し、6月24日にはマリアナ海溝で7,020mに到達した[6]。
関連項目
- 1948年 - FNRS-2
- 1953年 - FNRS-3
- 1953年 - トリエステ号
- 1961年 - アルシメード
- 1964年 - トリエステ2号
- 1964年 - よみうり号
- 1966年 - アルビン号
- 1966年 - アルミノート
- 1968年 - ベン・フランクリン (PX-15)
- 1969年 - サイアナ
- 1970年 - しんかい
- 1981年 - しんかい2000
- 1984年 - ノティール
- 1987年 - ミール
- 1989年 - しんかい6500
- 2009年 - シーポール
- 2012年 - ディープシーチャレンジャー
- 潜水技術の年表
- 潜水艇
- 潜水球
出典
- ^ “中国の潜水艇、有人潜水深度の世界新記録に挑戦へ”
- ^ a b c d e “有人潜水船、掘削船に注力 中国の海洋開発技術”. 2016年8月11日閲覧。
- ^ “潜水艇母艦「向陽紅09」、水深7千メートル級潜水の改良が完成”
- ^ “中国の有人潜水艇が水深4000メートルに到達”
- ^ “Test dive for deep-sea exploration successful”. CNTV. (2011年7月21日) 2012年6月25日閲覧。
- ^ “中国潜水艇、7千メートル潜水に成功 マリアナ海溝で”. 人民網日本語版 2016年8月11日閲覧。
文献
- China's first deep manned submersible, JIAOLONG
- 5000m Sea Trials Test of the Deep Manned Submersible "JIAOLONG"
- Key Technologies and Self Innovation of “JIAOLONG” Manned Submersible
- On an appropriate design and test standard for spherical pressure hull in a deep manned submersible
- Development of the Jiaolong Deep Manned Submersible
- On 7,000 m Sea Trials of the Manned Submersible Jiaolong
外部リンク
- 蛟竜号のページへのリンク