英雄たちの結集
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 04:41 UTC 版)
ギリシア神話には、断片的なエピソード以外に、一人の人物あるいは一つの事件が、複雑に展開し、数多くの英雄たちがその物語に関係してくる「複合物語」とも呼べる神話譚がある。 アテーナイの王子であった「テーセウス」の生涯は、劇的な展開を見せ、クレータ島の迷宮での冒険を経た後になっても、コルキスの王女メーデイアが義母であったり、その魔術と戦うなど、ミーノース王やアリアドネーを含め、広い範囲の多数の人物と関わりを持っている。 テーセウスの生涯以上に華麗で、夥しい人物が関係し、また様々な重要事件に参加するヘーラクレースの物語もまた英雄の結集する神話とも言える。彼に課された十二の難題の物語だけでも十分に複雑であるが、ヘーラクレースは「アルゴナウタイ」の一員でもある。更に、アポロドーロスによると、彼はゼウスの王権が確立した後に起こったとされるギガース(巨人)たちとの戦いにも参加している。また、オルペウス教の断片的な資料では、原初にクロノス Khronos(時)、別名ヘーラクレースが出現したという記述がある。これが英雄ヘーラクレースかどうか定かではないが、無関係とも言いきれない。 ギリシア中から英雄が集結して冒険に出発するという話としては、イアーソーンを船長とするコルキスの金羊毛皮をめぐる「アルゴナウタイ」の物語が挙げられ、ここではヘーラクレースやオルペウスなども参加している。 また、アドラストスを総帥とする「テーバイ攻めの七将」の神話やその後日談でもある、七将の息子たちの活躍も、英雄たちが結集した物語である。メレアグロスの猪退治の伝承が潤色され、拡大した規模で語られるようになった「カリュドーンの猪狩り」の神話もまた、メレアグロスを中心に、カストールとポリュデウケースの兄弟、テーセウス、イアーソーン、ペーレウスとテラモーン、そしてアタランテーなども参加した英雄の結集物語である。
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