芥川賞・選評
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(『文藝春秋』2014年9月号に載った各選評から) 山田詠美は、場面転換に数行を空ける書き方はよほど上手くないと失敗するが、本作では、著者の「目の良さ」によって成功していると評した。 村上龍は、アパートを俯瞰で見た形が鍵括弧の形であることを記号"「"で表した件を、「この書き出しのせいで感情移入が阻まれた。作家は描写が唯一の武器なのに、何故そんなことをするのか分からない」と批判した。 川上弘美は本作を推し、「難しさ」を指摘した。 小川洋子は、作者が書くべきものを強く握り締めているがその痛みを見せないことを評価した。 奥泉光は、狙いは分かるがその狙いが成功していないと評し、他作品を推した。 宮本輝は、以前から一貫して追求していたものを、視角を変えて表現したことによって、比喩を真実に届かせることができたと評した。 堀江敏幸は、最後に「わたし」という視点が出てくるところが不気味だと評した。 島田雅彦は、多焦点的で伏線らしきものが放置されることもあるが、現実はそのようなものであり、そういう現実の前で謙虚な作者は稀有な存在だと評した。 高樹のぶ子は、伝聞のなかで視点が動いていく表現に注目した。
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