船舶用複式蒸気機関の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/02 10:22 UTC 版)
舶用機関はほとんどが直列複式構成である。ポルタは舶用機関も定置式に分類している。舶用では、石炭を自分で輸送することから、自律的に動作し作動領域を拡大することが必要とされる。このため古い海水焚きボイラーはもはや不適切で、復水器を使ったクローズサイクルの真水を用いた機関に置き換える必要があった。結果として1880年頃から、3段から4段の膨張を行う多段膨張機関が登場した。こうした機関では、もし適切ならば各膨張段階が仕事を3つから4つに等しく分割するように、一連の次第に直径かストロークかその両方が大きくなる複動式シリンダーを用いる。二段膨張機関と同様に、空間が貴重な場合は合計すると大きな容積となる2つの小さなシリンダーを低圧段階に用いることがある。多段膨張機関では典型的にはシリンダーが一列に並んだ構成であるが、他の形態も多く用いられた。19世紀末にはヤーロー・シュリック・ツウィーディー (Yarrow-Schlick-Tweedy) バランシングシステムが舶用三段膨張機関で用いられた。Y-S-T機関では低圧膨張段階を2つのシリンダーに分割し、機関の両端に配置した。これにより、よりうまくクランクシャフトのバランスが取れ、スムースでレスポンスが速く振動の少ないエンジンとなった。これにより大型の旅客船では4シリンダー三段膨張機関が普及したが、最終的には上下動のないタービン機関へと置き換えられた。
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