自然言語における量化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 08:00 UTC 版)
全ての人間の言語は、完全な数体系がない場合でも、量化を利用している(Wiese 2004)。例えば、日本語での例は次の通りである。 「全ての方針に目を通す必要がある」 「川を渡っている人のうち何人かが白い腕章をしている」 「私が話した人々のほとんどが、誰に投票するか決めていなかった」 「待合室の誰もが小沢氏に対する少なくとも1つの不満を持っていた」 「クラスの誰かが、私の出した全ての問題に答えられるはずだ」 「多くの人々は賢明である」 これらを量化を使わずに、複数の文の論理和や論理積で表す単純な方法は存在しない。例えば、「Aの方針に目を通す必要がある」かつ「Bの方針に目を通す必要がある」……などと続くことになる。これらの例はまた、自然言語での量化表現の構築が統語的に非常に複雑となる可能性を示唆している。幸いにも、数学的表現における量化は、統語的により直接的である。 自然言語における量化の研究は形式言語の場合に比べて難しい。ひとつには、自然言語の文法構造が論理構造を隠蔽する場合があるためである。さらに、数学的規定は形式言語の量化子の妥当性の範囲を厳密に指定する。自然言語では、妥当性の範囲を指定するには、重要な意味論的問題に対処する必要が生じる。 モンタギュー文法は、自然言語の斬新な形式意味論を与える。その信奉者は、フレーゲ、ラッセル、クワインらの伝統的な手法よりも自然言語の自然な形式的再現が可能であると主張している。
※この「自然言語における量化」の解説は、「量化」の解説の一部です。
「自然言語における量化」を含む「量化」の記事については、「量化」の概要を参照ください。
- 自然言語における量化のページへのリンク