膜の種類と性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/29 02:42 UTC 版)
「ダイヤモンドライクカーボン」の記事における「膜の種類と性質」の解説
DLCは構成する炭素の混成軌道の割合と水素含有の有無が性質に影響する。また新たな特性を持たせるためにケイ素やニッケル、クローム、タングステンなどの元素を含有させる事もある。 分類上の種類は様々あるが一般的に用いられるものは主に以下の2つとなる。 a-C:H (hydrogenated Amorphous Carbon:水素化アモルファス カーボン) 水素を含み、sp2混成軌道(グラファイト構造)の炭素の割合が比較的多いDLC。一般的に用いられるタイプ。 ta-C (Tetrahedral Amorphous Carbon:テトラヘドラル アモルファス カーボン) 水素を含まないsp3混成軌道(ダイヤモンド構造)の炭素の割合が比較的多いDLC。いわゆる水素フリーDLC。 DLCはsp3とsp2が混在したものでsp3が多くなるとダイヤモンド寄りの性質となり、sp2が多くなるとグラファイト寄りとなる。水素を含むと硬度が下がるため一般的にa-C:Hよりもta-Cの方が硬度は高いが靱性は低くなるため皮膜の剥離や割れなどに対しては不利になりやすい。潤滑油などが介在しない無潤滑下においては水素含有量が多い方が摩擦係数に優れる傾向があり、特に乾燥窒素中や真空中では顕著となる。反対に潤滑油中においては水素含有量が少ない方が摩擦係数に優れ、水素含有量が多いと摩擦軽減効果が低くなる。油中での使用においては水素フリーDLCを用いる事が多くなっている。 以上のものはあくまで組成のみの話で実際には膜厚や面粗度、製造方法などによって性質は大きく変わってくるため、実際の運用に関しては組成だけではなくそれらを総合的に考える必要がある。
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