腸管の微生物叢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 13:33 UTC 版)
腸管の微生物叢については特に3つのエンテロタイプと呼ばれる微生物叢のグループが提唱されている。3つのエンテロタイプはそれぞれに特有な細菌の系統によって特徴付けることができ、これらの特徴的なグループは地域に依存せずに存在する。 近年の研究成果から疾患と細菌叢の関係が明らかにされてきた。例えば肥満とそれに伴う2型糖尿病のような生活習慣病は、ヒトの遺伝情報だけではなく、腸内細菌叢を構成する細菌種の割合とも関係していること、疫学調査や動物実験から明らかにされた。 環境が清潔だとアレルギー性疾患に罹患しやすいとする衛生仮説も微生物叢との関連から説明され得る。経済的に豊かな富裕国では、病原性のない(または病原性の弱い)寄生虫や真菌、乳酸菌といった常在性の微生物に感染する機会が失われている。一方でこのような微生物は免疫の過剰応答を抑える制御性T細胞の誘導を活性化する働きがある。そのため、富裕国では炎症性腸疾患などのアレルギー性疾患が増加している、とするものである。実際に様々な研究が炎症性腸疾患と微生物叢の関連性を示しており、細菌叢の多様性(α多様性)が失われて特定の菌種が増加することなどの変化が起きると考えられているが、因果関係の証明には至っていない。
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