絶対的無効・相対的無効・取消的無効
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/22 10:06 UTC 版)
「無効」の記事における「絶対的無効・相対的無効・取消的無効」の解説
絶対的無効・相対的無効・取消的無効は無効主張の認められる者の範囲という点からの無効の分類である。 絶対的無効 法律行為の当事者間のみならず当事者以外の者にも主張できる無効。民法上の無効行為は原則として絶対的無効である(例えば、公序良俗違反の法律行為や強行法規違反の法律行為は絶対的無効である)。 相対的無効 法律行為の当事者間のみで主張でき、当事者以外の第三者に対しては主張できない無効。第三者を保護する要請がある時は原則に修正をかけ相対的無効とする。例えば、通謀虚偽表示は善意の第三者には主張できない(94条2項)ので原則として相対的無効である。なお、「相対的無効」の概念は多義的であり、後述の「取消的無効(片面的無効)」と同義に用いられることもある。 取消的無効(片面的無効) 法律行為の当事者のうち一方当事者のみが主張でき、相手方や第三者は主張できない無効。無効主張を許される一方当事者が無効を主張することで遡及的に無効となる。当事者のうち一方の当事者のみを保護する要請がある時には取消的無効とされる。取消的無効は取消しに近いものとなるが、期間制限や方法の点で両者はなお異なる。なお、「相対的無効」がこの意味で用いられることもある。 2017年の改正前の民法では錯誤(95条)による無効は意思表示をした者(表意者)を保護するための制度であるとして、判例は錯誤による無効主張は原則として表意者のみが主張できるものとし、例外的に第三者に債権保全の必要があり表意者自身が要素の錯誤を認めている場合にのみ第三者の無効主張は許されるものとしていた(最判昭和45年3月26日民集24巻3号151頁)。2017年の民法改正により錯誤の効果は取消しに変更されている(2020年4月施行予定)。
※この「絶対的無効・相対的無効・取消的無効」の解説は、「無効」の解説の一部です。
「絶対的無効・相対的無効・取消的無効」を含む「無効」の記事については、「無効」の概要を参照ください。
- 絶対的無効相対的無効取消的無効のページへのリンク