統合失調症概念と同性愛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 09:45 UTC 版)
「ハリー・スタック・サリヴァン」の記事における「統合失調症概念と同性愛」の解説
1920年代までの英語圏の精神病理学は、統合失調症の発症直前に同性愛的状況(同性の集まる兵営生活、同性の親とのスキンシップなど)が存在するとしていた。特にサリヴァンの私慕していたEdward J. Kempfはこれを押し進め、統合失調症をacute homosexual panic(急性同性愛パニック)と呼称している。(統合失調症と同性愛をこのように結びつける考えは、アメリカを中心にその後1960年代まで続いた。ゲイ・パニック・ディフェンスも参照のこと。)サリヴァンも自らの理論のなかで、前青春期に同性間の十分な心理的結びつきを形成できなかった少年が、後に文化的圧力から異性愛を強制された際の葛藤が統合失調症の一部に先駆するとしている。この葛藤が解離され、幻聴や思考吹入として再体験されることを統合失調症の基本的な病理と捉えている。この状態を指して、サリヴァン自身の著作では「acute schizophrenic state(急性統合失調状態)」と記されることが多い。 またこれとは独立に、観念が過剰に体系化される「純粋パラノイア」と、過剰に発散している「純粋スキゾフレニア」を両極とする仮想軸上に、個々の統合失調症、強迫性障害、精神病質人格(発達障害を含む)症例が位置づけられると主張している。これはドイツ精神病理学が前提とする層構造(神経症、躁うつ病、統合失調症、器質性精神疾患の順に病理が深いとされる)と対比される、サリヴァン独自の疾患定式である。
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