経営の集中化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 05:32 UTC 版)
日本において、かつては農村部や郊外の田園地帯に「豚小屋」と呼ばれる小規模な養豚場が点在していたが、最近ではめっきり見られなくなった。環境問題で立ち退きを余儀なくされただけではなく、国内養豚家そのものが減少しつつあるためだ。その最大の要因は悪臭等の環境問題と後継者難である。1991年度の4万戸から2010年度には6千戸にまで減少した。一方、飼育されている豚の頭数は2割減にとどまっており、大規模な養豚業者への集中を見てとれる。既に養豚家戸数の中で27%以上が、千頭を越える飼育規模を持つ大規模な業者である(2004年度)。大規模業者の多くは種豚の生産を自前で行うだけでなく、専属の獣医師を雇用して、治療や予防接種も自前で行うことが多い。種豚の生産を専門とする養豚場は種豚場と呼ばれる。 なお、こうして水田地帯と養豚場が地理的に切り離されることにより、日本脳炎の罹患者数が激減したことは特記すべきであろう。日本脳炎は、水田を繁殖地とするコガタアカイエカが媒介する。コガタアカイエカが好んで吸血する動物は豚であり、さらに日本脳炎のウイルスは豚に感受性が高く、不顕性感染により発病せずにウイルスが豚でよく増殖する。かつては都市近郊に水田と養豚場が共存したことが、日本脳炎の流行が繰り返された大きな要因であった。
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