組合せ論的な解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/09 06:17 UTC 版)
「ロジャース=ラマヌジャン恒等式」の記事における「組合せ論的な解釈」の解説
組合せ論において、ロジャース=ラマヌジャン恒等式は、整数分割の母関数に関する関係式を与えている。すなわち、両辺を q のベキ乗の形で展開したときに現れる qn の係数は、正の整数 n をある一定の条件を満たす形で分割したときの分割数 p(n) に対応している。q のベキ乗の形で展開すると、第1恒等式の両辺は 1 + q + q 2 + q 3 + 2 q 4 + 2 q 5 + 3 q 6 + ⋯ {\displaystyle 1+q+q^{2}+q^{3}+2q^{4}+2q^{5}+3q^{6}+\cdots } (オンライン整数列大辞典の数列 A003114)、 第2恒等式の両辺は 1 + q 2 + q 3 + q 4 + q 5 + 2 q 6 + ⋯ {\displaystyle 1+q^{2}+q^{3}+q^{4}+q^{5}+2q^{6}+\cdots } (オンライン整数列大辞典の数列 A003106) となる。 分割において、どの和因子もd 以上の差があるとき、d-差的であるという。第1恒等式では、左辺の無限級数は、6=6, 5+1, 4+2 のように和因子が2-差的となる分割の母関数を与えている。また、右辺の無限乗積は、6=6, 4+1+1, 1+1+1+1+1+1 のように和因子が5を法として1 or 4 に合同となる分割の母関数を与えている。n=6 の分割の場合、第1恒等式のベキ乗展開において、q6 の係数は 3 であり、これが分割の仕方の個数と一致する。同様に第2恒等式では、左辺の無限級数は、6=6, 4+2 のように和因子が2以上で2-差的となる分割の母関数を与えている。右辺の無限乗積は、6=3+3, 2+2+2 のように和因子が 5 を法として2 or 3に合同となる分割の母関数を与えている。すなわち、ロジャース=ラマヌジャン恒等式は 正の整数 n の和因子が2-差的な分割数と和因子≡ 1 or 4 (mod 5)となる分割数は等しい 正の整数 n の和因子が2以上で2-差的な分割数と和因子≡ 2 or 3 (mod 5)となる分割数は等しい を意味している。 実際に第1恒等式について、n=1,2, ..,10について、対応する分割を書き下すと次のようになる。但し、各和因子の現れる回数をべき指数の形で表す記法を併用した。例えば、4113 は 4+1+1+1 を表している。 n分割数和因子≡ 1 or 4 (mod 5)となる分割和因子が2-差的な分割1 1 11 1 2 1 12 2 3 1 13 3 4 2 14, 41 4, 3+1 5 2 15, 4111 5, 4+1 6 3 16, 4112, 61 6, 5+1, 4+2 7 3 17, 4113, 6111 7, 6+1, 5+2 8 4 18, 4114, 6112, 42 8, 7+1, 6+2, 5+3 9 5 19, 4115, 6113, 421, 91 9, 8+1, 7+2, 6+3, 5+3+1 10 6 110, 4116, 4212, 9111, 6141 10, 9+1, 8+2, 7+3, 6+3+1, 6+4 組合せ論的な観点からは、分割等式への深い理解は、与えられた条件を満たす和因子の2つの集合間を対応付ける全単射写像を具体的に構成することによって得られる。ロジャース=ラマヌジャン恒等式に対する全単射写像は、アドリア・ガルシアとステファン・ミルンによる50ページに及ぶ論文で与えられた。さらにデヴィッド・ブレスードとドロン・ザイルバーガーは全単射写像による証明を2ページまでに単純化した。しかしながら、それらの証明は易しいものではなく、さらに単純な組合せ論的な証明が望まれている。
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