細胞小器官のリボソーム中の存在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/28 15:38 UTC 版)
「5SリボソームRNA」の記事における「細胞小器官のリボソーム中の存在」の解説
ミトコンドリアや色素体(共生細菌に由来する細胞小器官)の翻訳装置と関連する細菌の翻訳装置は多くの特徴を共有しているが、一方で顕著な差異も存在する。細胞小器官のゲノムは例外なく小サブユニットと大サブユニットのrRNAをコードしているが、5S rRNAの遺伝子(rrn5)に関してはそうではない。大部分の色素体のゲノムではrrn5は容易に同定される。対照的に、ミトコンドリアのrrn5は当初は植物と一部の原生生物に限定されていると考えられていた。配列組成バイアスや構造的な変化に関する情報を組み込んだ特殊な共変化モデルによって、さらに多様な細胞小器官で5S rRNAが同定された。この解析により、5S rRNAの遺伝子は大部分の原生生物のミトコンドリアゲノムだけでなく、特定のアピコプラスト(英語版)(トキソプラズマToxoplasma gondiiやコクシジウムEimeria tenellaなどの病原性原生動物の非光合成性色素体)のゲノムにも存在することが示された。 ストラメノパイルのミトコンドリアの5S rRNAは、二次構造の多様性が最も大きい。褐藻で見られる置換型のミトコンドリア5S rRNAは最も変わったケースであり、通常分子の5'末端と3'末端によって構成されるヘリックスIは閉じたヘアピン構造に置き換えられ、開いた3方向のジャンクション構造となっている。 現行の証拠からは、わずかなグループ、特に動物、菌類、アルベオラータとユーグレノゾアのミトコンドリアDNAだけが5S rRNAの遺伝子を欠いていることが示唆されている。通常5S rRNAと結合タンパク質によって占められているCP構造は、これらの生物のミトコンドリアではさまざまに再構成されている。菌類のミトコンドリアリボソームでは、5S rRNAは大サブユニットのrRNAの拡張配列によって置き換えられている。ユーグレノゾアのキネトプラスチドでは、CPは進化的に新規のミトコンドリアリボソームタンパク質によって構成されている。動物のミトコンドリアリボソームでは、特定のミトコンドリアtRNAが失われた5S rRNAに置き換わるように共適応が起こっている。
※この「細胞小器官のリボソーム中の存在」の解説は、「5SリボソームRNA」の解説の一部です。
「細胞小器官のリボソーム中の存在」を含む「5SリボソームRNA」の記事については、「5SリボソームRNA」の概要を参照ください。
- 細胞小器官のリボソーム中の存在のページへのリンク