細胞性フィブロネクチン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 17:04 UTC 版)
「フィブロネクチン」の記事における「細胞性フィブロネクチン」の解説
細胞性フィブロネクチンは、線維芽細胞をはじめとする種々の細胞から可溶性の二量体として分泌されたあと、細胞が関与する複雑な過程を経て不溶性の線維性細胞外マトリックスとして集積する。 その複雑な過程は、可溶性のフィブロネクチン二量体が分泌され、細胞表面のインテグリンα5β1に結合することから始まる。この結合に刺激され、インテグリン分子が細胞表面に斑点状に。密集は、細胞伸展で生じる接着構造の1つである焦点接着(focal adhesion)と同じと考えてよい。密集部位でインテグリンに結合したフィブロネクチンの局所的な濃度が高くなると、その場の多数のフィブロネクチン分子どうしが相互作用しやすくなる。 細胞は細胞膜上にインテグリンを密集させる過程でインテグリンに結合したフィブロネクチン分子を引っ張る。すると、インテグリンに結合したフィブロネクチンは、折りたたまれた形から引き伸ばされる。つまり、二量体が開き、折りたたまれて分子内に隠れていたフィブロネクチン会合部位が、分子表面に暴露される。それで、周囲の他のフィブロネクチン分子が次々と会合する。会合が進むと、フィブロネクチン分子会合体は、可溶性から不溶性へと移行する。これら一連の過程は、フィブロネクチン線維化(fibronectin fibrillogenesis)と命名された。 さらに、この過程で、フィブロネクチンにヘパラン硫酸プロテオグリカンなどの細胞外マトリックス高分子が結合する。そこにさらに他のフィブロネクチン分子が会合し、不溶性の線維形成が発達し、安定した不溶性の細胞外マトリックスが形成される。
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