筒井清忠による評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 20:16 UTC 版)
「虹色のトロツキー」の記事における「筒井清忠による評価」の解説
社会学者の筒井清忠は本作について、満州を舞台とした作品の中で従来描かれてきた流れを「ある意味で総合しつつ、それらでは描き切れなかった満州のアラベスクの抽出に挑戦した意欲作」とし、建国大学を主軸に多彩な人物が絡みながらトロツキーをめぐり展開されるストーリーの構想力の大きさが魅力と評した。 本作はノモンハン事件をもって実質的なストーリーを終えている。これについて筒井は「著者自身が昭和十年代の日本人と同じく、大陸の大きさにのみこまれてしまったということだろうか」とし、「マンガの限界を超えた著者の雄渾の筆致で、あらためて満州国(もしくは建国大学)の興亡の全体像を描き出してもらいたいと願う」と注文した。 なお、安彦は『世界』1997年12月号のインタビューにおいて、仮に主人公のウムボルトがノモンハンにおいて戦死することがなければ、蒙古聯合自治政府を率いた徳王(デムチュクドンロブ)のように、外蒙を含めた真の蒙古独立を目指しただろうとしている。ただし、時代の流れは徳王の予想をはるかに超えて変転していたし、またウムボルト自身は身体の半分に流れる日本人の血のために、真に蒙古ナショナリズムを支持する立場には立てなかったのではないかとしている。
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