第4楽章 Con moto
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 09:24 UTC 版)
「クラリネット五重奏曲 (ブラームス)」の記事における「第4楽章 Con moto」の解説
ロンド形式にコーダを加え、主題と5つの変奏で構成される。主題は美しい旋律が弦によって軽やかに歌われ、そこにクラリネットが短く入り、後半部が二度繰り返される(譜例4)。第1変奏(33小節目から64小節目)は軽快なチェロに委ねられる。クラリネットは他の弦部とのユニゾンや、巧みに書かれた対位法を奏でる。第2変奏(65小節目から96小節目)は中音域の弦によるシンコペーションの伴奏が、16分音符で湧きあがるクラリネットよりもなお熱をこめて貫いていく。第3変奏(97小節目から129小節目)ではクラリネットの存在感が増し、16分音符のスタッカートによるアルペッジョがヴィルトゥオーゾ的というよりもむしろ快活さをにじませたドルチェで奏される。ロ長調で進行する第4変奏(130小節目から162小節目)では、中音域の弦による16分音符の刺繍音の上で、クラリネットと第1ヴァイオリンによる恋のようなピアノ・ドルチェの対話が続く。最後の第5変奏(163小節目から196小節目)は短調に戻るが主題のリズムは3/8拍子に変わり、そこへ曲冒頭のライトモチーフのひずんだこだまのような16分音符の音型が対位法により結びつけられていく。コーダ(197小節目から226小節目)では、表現豊かな短いカデンツァが高音のEのフォルテによって頂点に達した後、今度はライトモチーフが冒頭とまったく同じ形で繰り返される。最後の残響が曲に充溢感と循環的統一をもたらし、過ぎし時を振り返るかのようにこの夜想曲的大作に別れを告げる。 譜例4
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