第三者対抗要件(だいさんしゃたいこうようけん)
すでに効力の生じている権利関係の変動などを第三者に主張するための要件のこと。仮に権利者Aが、自己の権利を他人に譲渡しようと考えたとする。そして、本来このようなことは許されないが、Aは同じ権利をB、Cの2人に重ねて譲渡(二重譲渡)してしまったする。この場合は、BとCとの間でどちらが権利者であるかが争いになる。このようなとき、たとえばBが先に所定の登録手続きを済ませていれば、BはCに対して自分が正当な権利者であることを主張できる。このような場合の“所定の登録”が第三者対抗要件である。
商標権についての通常使用権は、特許庁への登録が第三者対抗要件となっている。これらについて登録をしておけば、商標権が移転した場合、新たな権利者に対しても、通常実施権、通常使用権を持っていることを主張できる。なお、特許権、実用新案権、意匠権についての通常実施権は、特許庁への登録をしなくとも第三者に対抗することができる(特許法99条)。
(執筆:弁理士 古谷栄男)
第三者対抗要件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:22 UTC 版)
著作権の譲渡は、当事者間の譲渡契約の締結のみでその効力が発生するが、登録をしなければ第三者に対抗することができない(77条1号)。たとえば、著作権者AがBに著作権Xを譲渡したが、その登録がされていないものとする。このとき、AからBへの著作権Xの譲渡は、第三者であるCに対抗できないため(77条1号)、Cとの関係では、著作権Xは依然としてAに帰属している。したがって、AからCへの著作権Xの譲渡も、当事者AとCの間では有効となる。この場合、著作権XはBとCに二重譲渡されたことになるが、仮にCの著作権Xについて登録がされた場合、Cに対する著作権Xの譲渡はBに対して対抗力を有するようになり、CはBに対して著作権Xを主張できるようになる。 したがって、著作権を譲渡された者は、それを登録しなければ、後続の第三者に権利を奪われる可能性がある。譲渡契約の先後は問われない。
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