第三現場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 07:20 UTC 版)
府中市栄町、明星高校近くの空地が「第三現場」と呼ばれている。犯行前に偽装白バイをカバーで覆って停めていた場所である。犯行前から無人の偽装白バイがエンジンを掛けっぱなしのまま空地に置かれているのを近所の住人が目撃している。捜査本部の見立てでは、犯人は銀行を出発した現金輸送車を「第1カローラ」と呼ばれる盗難車で追跡し、輸送ルートを確めたあとに「第三現場」で「第1カローラ」を乗り捨てた、と推測された。その後犯人は、あらかじめ用意していた偽装白バイに乗り換え、現金輸送車を追い掛けて犯行に及んだと考えられている。「第三現場」には、「第1カローラ」と「レインコート」が残されていた。 レインコート 濃紺色のレインコートが蛙脱ぎ(裏返しながら脱ぐことの通称)の状態で「第三現場」に残されていた。 事件翌日に公開されたが、一般からの情報提供がほとんど無かった。事件の10年前に製造されたもので、製造した会社は1958年(昭和33年)時点で倒産していた。レインコートに関しては、様々な情報が錯綜したが、すぐに重要な遺留品とは看なされなくなり、しばらくは捜査の脇に追いやられていた。重要な遺留品と認定されたのは事件から3年後のことだった。袖裏にアイロンを掛けた跡があり、また内襟に「クリーニング」のタグの跡を示す白い糸が付いていた。しかしながら、捜査が遅れたために、それ以上の捜査の進展はなかった。 第1カローラ 「第1カローラ」とは、犯人が現金輸送車を追跡するために使用したと推定される緑色のカローラのことである。11月30日から12月1日の間に盗難された。ナンバープレートは「多摩5め3863」。犯行当日に府中市栄町の「第三現場」の空き地で発見された。発見時、半ドアでワイパーは動いたまま、窓は開けっ放しの状態であった。「第1カローラ」の乗り捨てられた状態と偽装白バイの後部にシートカバーを引っ掛けたまま走行していたこととを併せて推察すれば、犯人には犯行を遂行するのに時間的余裕は全く無かったと考えられている。
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