立法の契機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 06:03 UTC 版)
PACSの立法の契機として、男女間の内縁カップルに認められている制度を同性間の内縁カップルに承認することを否定した、1989年7月11日の2つの判決がある。1つは、航空会社・エールフランスの内部規則で、内縁関係の者も対象となる家族割引の特典が、同性のパートナーに適用されるかを争ったものであり、もう1つは、被保険者と夫婦のように生活している者の受給資格を認めた、1978年1月2日施行の社会保障の一般化に関する法律は同性のパートナーも該当するかを争ったものである。これについて、フランスの最高裁判所である破毀院は、これらの規則や法律でいう「内縁関係の配偶者」や「夫婦のような生活」は男性と女性からなるカップルを指すとして、いずれも訴えは退けられた。 また、1997年12月17日の破毀院判決では、同性カップルの一方がエイズにより死亡した事例において、死亡した者とコンキュビナージュ(日本でいう内縁に近い)関係にあった者に認められる賃借権の移転について、コンキュビナージュは、婚姻の外観をもつ、安定的で継続的な関係からのみ生じうるため、1人の男性と1人の女性の間にのみ成立しうるものであり同性カップルには認めないとしたため、コンキュビナージュに同性カップルは認められないことが決定的となった。 これらの判決により、同性間の内縁カップルの権利が社会的な問題として注目され、同性の内縁カップルの保護に関する立法が必要であるという認識が広がり、1990年代から社会党や共産党を中心に、議員の一部が立法案を提案するようになる。
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