積の幾何学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 10:22 UTC 版)
しかし、以上の分類に加え、3次元の場合の幾何学モデルは他にも存在する。この理由は、スカラーだけでは局所領域での形や平面上の点での曲率を決定できず、曲率がその点での平面通過方向へ依存するからである。すなわち、このことを説明するには、別の 3次元モデル 2-球面と直線との積 S 2 × R {\displaystyle S^{2}\times \mathbb {R} } を考える必要があるからである。 この空間は 3次元ユークリッド空間の中では表現することができないが、次のように想像することは可能である。3次元空間は、玉ねぎのように増加する半径を持つネストした 2-球面である。ここでネストした球面の半径が増加せず、内側や外側へいっても半径が定数 1 であることを想像すると、求める空間が得られる。代わりに、2球面が途切れることなく直線に沿って並んでいると想像することも可能である。 この空間の中では、球面上を経線や緯線に沿った方向にも動くことができるし、それらとは垂直に直線方向へも移動することができる。球の接平面方向の曲率は 1 であるが、直線方向の平面の曲率は 0 である。 双曲平面と直線の積についても同じ構造であることがわかる。 H 2 × R {\displaystyle \mathbb {H} ^{2}\times \mathbb {R} } ここでは、考えている方向に対して、曲率が -1 と 0 である。 2つのモデルの積の計量は、等質的(homogeneous)であるが、等長的(isotropy)ではない。全ての点は「等しい」が、しかし固定点では平面が他のレイヤとは異なっている。数学的には、このことは等長(isometry)群は点の上では遷移的(transitive)であるが、座標軸(点の上で法線方向と接平面方向のベクトルの三つ組)に対しては遷移的ではないことを意味する。
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