秩序と統合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 11:15 UTC 版)
イスラム教の核心は、イスラム共同体をともにつなぎとめる統合性である。Protestantのキリスト教を性格付ける構築的分離と違って、ムスリムの世界はきわめて融合的である。このことは、地理的に遠く離れた地域でもよく似たアラベスクが用いられていることにも反映している。事実、あまりに似ているので、所与のアラベスクの様式の由来を判別することは、専門家にとっても時には難しい。この理由は、アラベスクの形成の原理となっている科学と数学が普遍的であることにある。だからこそアラベスクは、イスラム神法やシャリーアとともに、ウンマつまりイスラム共同体を一つの融合体にまとめあげる接着剤となる。 したがって、ほとんどのムスリムにとって、モスクのために人が作りだす最善の芸術様式とは、自然の背後にある秩序と統一性を表現するものである。物質世界の秩序と統合は、(多くのムスリムにとって真の現実が存在する唯一の場所である)精神世界の影にすぎない。発見された幾何学形式は、人の罪によって覆い隠されてきた、神の創造の真に完璧な現実を例示している。 事実、スーフィズムのムスリムは、精神世界と物質世界との間に差異はないと信じる。彼らはまた、我々が精神世界を経験し得ないのは、我々を完全無比な精神世界から遮断する「秘密のヴェール」があるからだと考える。だから彼らは、このヴェールを持ち上げ、地上にありながら神と一体になろうと努める。そして、スーフィズム主義者がこれを実践する一つの方法こそが、世界の描写においてアラベスクを用いることである。
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