科学論の前史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 21:08 UTC 版)
パラダイム概念の発表とともにクーンが巻き込まれた激しい論争の位置付けを理解するためには、そこまでに至る前史と文脈を押さえておく必要がある。20世紀以降の科学哲学ないし科学論の対象たるべき科学は、歴史的に言えば、17世紀における科学革命後に成立した独自の知識の様式ということが出来る。この科学という知識の様式を特徴付ける特性は「実証性」、言い換えれば、思弁ではなく「事実的」「経験的」「確実」な仕方で正当化された知識であることに求められた。 実証性はこの限りでは、自然科学の特徴を言い表す概念以上のものではなかったが、オーギュスト・コントは実証性を哲学上の思想にまで高めた。特に19世紀後半における科学研究とその応用としての技術の長足の発展に支えられて、実証主義の哲学は大きな影響力をもった。とりわけ、ここでの文脈に即して言えば、実証主義は人文社会的な領域をも自然科学の方法で統一しようとする強い傾向をもっていたことが重要である。
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