科学史の見直し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 18:54 UTC 版)
旧来の科学史の研究においては、思索や伝聞などを基にしたあやふやな手法が導入される傾向があり、また、道徳の次元で物事を論じ、きれいごとに近い神話を形成する元凶となったという批判がある。このようにして形成された「聖人科学者」的な科学者は、道徳教育においては役立った側面があるものの、科学者になるための示唆はほとんどないと考えられている。このような「聖人科学者」的な科学者像や、過度に綺麗事化された科学的方法論は、特にハロルド・ガーフィンケル、ブルーノ・ラトゥール以降による社会学的手法の導入以降抜本的に見直されてきている。 金凡性は、科学史の意義について、歴史的な事例が信頼性の高い「発見のハウツー」を提供できるわけではなく、ホイッグ史観を克服することによって学問分野として独立してきた経緯がある以上、科学史に「科学の英雄の顕彰」は難しいと述べ、科学史の研究及び教育が持っている価値は、過去からの連続性に注目しながら現在の科学・技術の姿を理解すること、そして過去との相違に焦点を当てることによって現在の科学・技術の形を相対化することにあると述べている。
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