福祉施設としての助産施設
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 03:00 UTC 版)
異常分娩のおそれがある・住居内が不衛生で出産の介助者もいないなど、医学上・保健上の理由で、妊産婦が助産を受ける必要がある場合がある。しかし、このような状況にある妊産婦が、金銭的に困窮している・生活保護を受給しているなどの経済的な理由によって助産所で病院・診療所等の医療機関で助産を受けることができない場合がある。 児童福祉法では、こうした環境にある女性が医学上・保健上安全に出産できるように、出産を援助する施設として、「助産施設」を設けており(同法第36条)、同法第22条で、必要な妊産婦から申し出があったときには助産施設に入所させる制度を定めている。したがって、この制度の利用が必要だと考える妊産婦は、この制度の実施主体である都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村に対し申し出て、助産施設に入所することができる。制度の利用は申請主義、つまり妊産婦からの申請があって初めて自治体が入所措置を行うものである。 助産施設は、助産所(で入所可能なベッドのあるもの)や病院(医療法上の病院。病床数20床以上)と異なる独立した施設ではなく、一般には、病院の産科病棟の病床の一部、及び助産所の一部が助産施設とされている。児童福祉施設最低基準第15条によって、助産施設は、病院であるものを第一種助産施設、助産所であるものを第二種助産施設という。 助産施設になっている病床や助産所は、一般の妊産婦よりも、児童福祉法22条による入所措置を受けた妊産婦を優先して入所させなければならない。とはいっても、第一種助産施設は通常は一般の産婦人科病棟の一部であり、助産施設としての専従職員(医師、助産師、看護師など)が配置されているわけではなく、入所後は一般の入院者と同様に処遇される。 第二種助産施設は、助産所があてられるが、児童福祉施設最低基準第17条により、 一人以上の専任又は嘱託の助産師を置かなければならない。 嘱託医は、産婦人科の診療に相当の経験を有する者でなければならない。 と、医療法における基準よりも厳しい基準が定められている。
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