神経変性と免疫不全
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 07:18 UTC 版)
小胞体において、フォールディングしていない、もしくは誤ってフォールディングしたタンパク質の量が過剰になると、unfolded protein response (UPR) が活性化され、恒常性維持のためのいくつかの受容体の活性が増加する。IRE1(英語版) (inositol-requiring enzyme-1) と PERK(英語版)(protein kinase RNA-like endoplasmic reticulum kinase) は翻訳の速度を制限する2つの受容体である。また、フォールディングしていないタンパク質はシャペロンによって正しいフォールディングへ直されるが、これは ATF6(英語版)(activating transcription factor 6) によって誘導される。誤ったタンパク質の数がさらに増加すると、アポトーシスを誘導するメカニズムが活性化される。UPRは発がん性や、免疫不全、神経変性に関与しており、ヒ素はUPRに関与するこれらのタンパク質センサーを活性化することが知られている。 また、小児のヒ素への曝露は、ヘルパーT細胞 (CD4) と細胞傷害性T細胞 (CD8) の比の異常をもたらし、免疫抑制の原因となっている。それに加え、ヒ素はマクロファージから分泌される炎症分子の量を増加させる。過剰量の顆粒球や単球は慢性的な炎症状態を引き起こし、がんの進行につながる可能性がある。
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