神々の呉越同舟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 15:55 UTC 版)
『西遊記』では三蔵法師を助けるため、様々な神仏が法力で三蔵を援護するが、そこには仏教神と道教神が混在している。もちろん玄奘取経という史実が題材なため、物語の表層は仏教的外観におおわれている。しかし実は根本的な部分は非常に道教的であり、道教概念が目立たぬようちりばめられている。たとえば三蔵の前世は釈迦の二番弟子の金蝉子ということになっているが、「金蝉」とは道教の錬丹術における基本概念のひとつである。さらに『歴代神仙通鑑』巻5では、釈迦が布教に失敗し中国にやってきて道教を学んだときの師の名が金蝉であり、仏教軽視・道教重視の姿勢が秘められた名である。仏教神が道教的に扱われる傾向は『西遊記』に限った話ではなく、この時代の特徴でもある。『西遊記』と同時期の書である『三教源流捜神大全』(以下『捜神大全』)や少し後の『封神演義』には、様々な神が記されており、仏教神が次第に道教に取り込まれていく様子がうかがえる。
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