祖父:ミシマのミゾクヒ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 04:56 UTC 版)
「ヒメタタライスズヒメ」の記事における「祖父:ミシマのミゾクヒ」の解説
『日本書紀』で、多少の表現の差異はあるが、母親は三嶋溝杙の娘とされる。「ミゾクヒ」には、溝樴、溝樴耳神、溝杙などの表記がある他、『古事記』では湟咋とあり、溝杭(『新撰姓氏録』)、溝咋などの字が当てられることもある。「-耳神」を付す史料があることから、神性をもつ存在として信仰の対象であったことも示唆されると見る説がある。この神は陶津耳命や加茂建角身命、八咫烏の名を持っており、賀茂氏の系図では賀茂氏や葛城国造の祖神とされている。また「三島」に関連した神名であり、三島県主の祖神であった少彦名神と同神であると見る説もある。 「三島」という地名は摂津国三島郡(現在の大阪府北部)にあたると考えられている。『延喜式神名帳』(927年成立)には三島鴨神社(高槻市三島江)や溝咋神社(茨木市)が掲載されており、「ミシマのミゾクヒ」はこのあたりで信仰されていたと推測される。 江戸時代の国学者本居宣長は、この「ミゾ(溝)」は水流の上に作られた厠を指すと解釈し、これが通説となっている。三谷栄一などはこの説を採り、厠は出産儀礼とも関連が強いとする説もある。肥後和男(東京教育大学名誉教授)はこれとは違い、「ミゾ」は水田の溝を意味するとした。次田真幸はこの説を発展させ、三島郡は稲作の適地であり「ミシマのミゾクヒ」は農耕神であるとした。
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