確率論証
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 04:07 UTC 版)
「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」の記事における「確率論証」の解説
1981年にロバート・ノージックが提案し、その後、1996年にピーター・ヴァン・インワーゲンによって独立に再度提案された論法。実現可能な世界のレパートリー全体を考察したとき、無はひとつしかない。それに対し何かがある世界は無数に考えられる(私たちのいる宇宙、生命のいない宇宙、空間が二次元しかない平面世界、等々)。そのため確率的に考えて(ここで当然 確率的に考えられるのかが問題となる、がそれは後に譲る)、世界は無であるよりも何かがある可能性が高い。これが確率からの論証である。この論証方法の弱点としては、まず必然性を保証する論証とはなっていないことが挙げられる。仮に可能世界のレパートリ全体の中で「無」がひとつしかなかったとしても、たまたま無であった可能性がこの論証では排除されずに残される。また場合わけをどう行うべきなのかも問題として残る。モンティ・ホール問題の議論や量子統計が持つ特徴などからも知られるように、何を等確率の事象と見なすかという問題は確率に関する議論において、しばしば難しい判断を要する部分となる。この点については、少なくとも無は二つ以上に場合わけすることはできないだろう点(赤い無、青い無といったものは想定できないということ)、そして最低でも無と有は区別して場合わけできるであろう点から、この論証方法によるならば最悪の場合でも50%以上の確率で「何かが存在すること」が保証されるだろうと議論される。
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