直和、直積、自明群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/12 08:10 UTC 版)
「自由アーベル群」の記事における「直和、直積、自明群」の解説
2つの自由アーベル群の直積はそれ自身自由アーベル群であり、2つの群の基底の(集合としての)直和が基底になる。より一般に自由アーベル群の任意有限個の直積は自由アーベル群である。例えば d-次元整数格子は整数の加法群 Z の d 個のコピーの直積に同型である。 自明群 {0} もまた空集合を基底とする自由アーベル群と考えられる。これは Z の 0 個のコピーの直積と解釈できる。 自由アーベル群の無限族に対しては、その直積(各群から一つずつ元をとってきて作られる組全体の成す族に点ごとの加法を入れたもの)は自由アーベル群とは限らない。例えばベーア–スペッカー群(英語版) Z N {\displaystyle \mathbb {Z} ^{\mathbb {N} }} ( Z {\displaystyle \mathbb {Z} } の可算個のコピーの直積として構成される不可算群)は1937年にラインホルト・ベーア(英語版)によって自由アーベル群でないことが証明された。エルンスト・スペッカー(英語版)は1950年に Z N {\displaystyle \mathbb {Z} ^{\mathbb {N} }} のすべての可算部分群は自由アーベル群であることを証明した。有限個の群の直和は直積と同じものだが、直和因子が無限個の場合には直積と異なり、その元は有限個を除いてすべてが単位元に等しいような各群からの元の組からなる。直和因子が有限個の場合と同様、無限個の自由アーベル群の直和は自由アーベル性を保ち、その基底は直和因子の基底の非交和(の像)によって与えられる。 二つの自由アーベル群のテンソル積はつねに、積をとる二つの群の基底のカルテシアン積を基底にもつ自由アーベル群になる。 任意の自由アーベル群は、基底の各元に対して一つずつ Z のコピーを与えて、Z のコピーの直和として記述できる。この構成は、任意の集合 B を自由アーベル群の基底にすることを可能にする。
※この「直和、直積、自明群」の解説は、「自由アーベル群」の解説の一部です。
「直和、直積、自明群」を含む「自由アーベル群」の記事については、「自由アーベル群」の概要を参照ください。
- 直和、直積、自明群のページへのリンク