百ま山姥とその従者の登場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/23 15:25 UTC 版)
「山姥 (能)」の記事における「百ま山姥とその従者の登場」の解説
都で山姥の山めぐりを題材にした曲舞を舞って名声を得た、百(ひゃく)ま山姥(百万山姥、百魔山姥)という名の遊女(ツレ)が、信濃国の善光寺に詣でようと、都を出発する。従者ら(ワキ、ワキツレ)が、その供をしている。一行は、志賀の浦から北陸道を進み、愛発山、安宅、砺波山を経て、越中国・越後国の国境にある境川にたどり着く。 ワキ・ワキツレ〽善き光ぞと影頼む。善き光ぞと影頼む。仏の御寺(みてら)尋ねん。ワキ「是は都方(みやこがた)に住居(すまひ)仕る者にて候ふ。又是に渡り候ふ御事(おんこと)は。百ま山姥とて。かくれなき遊女にて御座候ふ。かやうに御名(おんな)を申すいはれは。山姥の山廻(やまめぐ)りするといふ事を。曲舞(くせまひ)に作つて御(おん)謡ひあるにより。京童部(わらんべ)の申しならはして候ふ。又此頃は善光寺へ御(おん)参りありたき由承り候ふほどに。某(それがし)御供(おんとも)申し。唯今信濃の国善光寺へと急ぎ候ふ。[中略]ワキ「御(おん)急ぎ候ふほどに。是ははや越後越中の境川に御(おん)着きにて候ふ。暫く是に御座候ひて。猶々(なおなお)道の様体(ようだい)をも御(おん)尋ねあらうずるにて候ふ。 [従者ら]ありがたい弥陀の光明を頼りとして、善光寺を訪ねよう。[従者]これは都に住む者です。また、こちらにおられますお方は、百ま山姥といって、世に知られた曲舞の舞手でいらっしゃいます。このようにお名前をお呼びするいわれというのは、山姥が山めぐりをするという話を、曲舞にしてお謡いになっていることから、都の者たちが呼び習わしているのです。さて、近頃、百ま山姥が善光寺へお参りしたいということを伺いましたので、私がお供申し上げ、今、信濃国善光寺へと急いでいるところです。[中略][従者]お急ぎになりましたので、早くも越後国・越中国の境を流れる境川にお着きになりました。しばらくこちらにお待ちになって、さらに道の事情をお尋ねになるのがよいでしょう。
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