白旗山八幡宮のオハツキイチョウとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 文化 > 国指定文化財等データベース > 白旗山八幡宮のオハツキイチョウの意味・解説 

白旗山八幡宮のオハツキイチョウ

史跡名勝記念物のほかの用語一覧
天然記念物:  白兎神社樹叢  白子不断ザクラ  白山神社のハナノキおよびヒトツバタゴ  白旗山八幡宮のオハツキイチョウ  白浜の化石漣痕  白浜の泥岩岩脈  白石島の鎧岩

白旗山八幡宮のオハツキイチョウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/08 11:26 UTC 版)

白旗山八幡宮のオハツキイチョウ。2023年10月24日撮影。

白旗山八幡宮のオハツキイチョウ(しらはたやまはちまんぐうのオハツキイチョウ)は、茨城県水戸市八幡町に鎮座する水戸八幡宮境内に生育する、国の天然記念物に指定されたオハツキイチョウである[1][2]。国の天然記念物に指定された全7件あるオハツキイチョウのひとつであり、1929年昭和4年)4月2日に「白旗山八幡宮御葉附公孫樹[3]」の指定名称で国の天然記念物に指定された[4][5][6]

水戸八幡宮の公式ホームページによれば、樹齢800年、樹高42メートル、幹周り9メートルという巨樹で、本樹の前には「日本一の大いちょう」の大きな看板が設置されている[7]。オハツキイチョウとしては日本国内最大の巨樹であり[1][5][6]、幹から多数の乳根(乳柱)が垂れ下がり枝張りもよく、樹勢も良好で、当八幡宮の御神木として地域の人々や参拝者に親しまれている[2][8]

解説

白旗山
八幡宮の
オハツキ
イチョウ
白旗山八幡宮のオハツキイチョウの位置
落葉時の様子。2014年2月28日撮影。

白旗山八幡宮のオハツキイチョウは茨城県水戸市中心部の北西側にある水戸八幡宮境内に生育しており、八幡宮の随身門をくぐった正面にある拝殿に向かって左側に高くそびえ立っている。オハツキとは葉の表面や小枝の先端部にギンナンが結実する(葉上種子)イチョウの変種の一種で、漢字で「御葉付」と書く[1]

オハツキイチョウは明治24年(1891年)に植物学者白井光太郎により、山梨県南巨摩郡下山村(現、同郡身延町)の上沢寺境内にある個体(上沢寺のオハツキイチョウ)から葉上種子が発生する事実が確認され、これが学会に報告されたことで広く知られるようになった[9]。本記事で解説する白旗山八幡宮のオハツキイチョウも、国の天然記念物指定に先立つ現地調査は白井光太郎自身によって行われている[10]

白井が調査を行った当時、当地は水戸市に編入される以前の東茨城郡常磐村であったところで、水戸八幡宮も「白旗山八幡宮」と呼ばれていたため、天然記念物指定名称も白旗山八幡宮の社名が冠されている。調査は茨城県師範学校教諭兼教育監(教育長)の角田俊夫が同行し[11]、当時の本樹は白井の計測によれば地上5(約1.5メートル)の幹囲は19尺(約5.7メートル)、樹高は約18(約32メートル)であり、乳柱の発達も著しく、樹勢の雄大な点においてオハツキイチョウの中で第一なるべしと報告されている[3]

一方で樹高が高いため枝幹に実った種子(ギンナン)の様子などを地上から確認するのが困難で、白井は落下したものの中から御葉付が生じたものを確認している[3]。また、御葉付となるギンナンの割合は非常に少なく、全体の約1割程度である[12]。なお、調査当日、茨城県師範学校の中庭にもオハツキイチョウがあるということで、同時に調査が行われたが、こちらも御葉付となる割合が少なく、白井は確認できなかったという[11]

いずれにしても白旗山八幡宮のオハツキイチョウは、日本国内最大のオハツキイチョウの巨樹であり、白井は『天然紀念物調査報告 植物之部 第9輯』に天然記念物に指定することを望むと記載し[11]1929年昭和4年)4月2日に「白旗山八幡宮御葉附公孫樹[3]」(後に片仮名のオハツキイチョウへ変更)の指定名称で国の天然記念物に指定された[4][5][6]

言い伝えによれば当八幡宮が建立された1707年宝永4年)以前、この場所には別の寺院があったが、その時すでにオハツキイチョウは巨木として存在していたという。このことから樹齢は400年もしくは600年以上と推定されている[1][12]。地元では古くからこのイチョウを「ヤエギンナン」と呼んでいるが、当地での「ヤエ」とは「変わり者」の意味で、おそらく葉上種子の奇妙な形態を指して呼ばれるようになったものと考えられている[5][6][10]

交通アクセス

所在地
  • 茨城県水戸市八幡町8-54[13]
交通

出典

  1. ^ a b c d 鈴木 1995, p. 478.
  2. ^ a b 常陽芸文 1986, p. 2.
  3. ^ a b c d 白井 1929, p. 50.
  4. ^ a b 白旗山八幡宮のオハツキイチョウ(国指定文化財等データベース) 文化庁ウェブサイト、2023年11月7日閲覧。
  5. ^ a b c d 本田 1957, p. 41.
  6. ^ a b c d 文化庁文化財保護部監修 1971, p. 88.
  7. ^ 国指定天然記念物 御葉付公孫樹 文化財と社宝 水戸八幡宮式ホームページ 2023年11月7日閲覧。
  8. ^ 鈴木 1995, p. 476.
  9. ^ 本田 1957, pp. 42–43.
  10. ^ a b 白井 1929, pp. 50–51.
  11. ^ a b c 白井 1929, p. 51.
  12. ^ a b 白旗山八幡宮のオハツキイチョウ – 茨城県教育委員会。2023年11月7日閲覧。
  13. ^ 白旗山八幡宮のオハツキイチョウ – 水戸市役所ホームページ 水戸市教育委員会。2023年11月7日閲覧。
  14. ^ アクセス・水戸八幡宮 水戸八幡宮公式ホームページ 2023年11月7日閲覧。

参考文献・資料

  • 加藤陸奥雄他監修・鈴木昌友、1995年3月20日 第1刷発行、『日本の天然記念物』、講談社 ISBN 4-06-180589-4
  • 本田正次、1957年12月25日 初版発行、『植物文化財 天然記念物・植物』、東京大学理学部植物学教室内 本田正次教授還暦記念会
  • 文化庁文化財保護部監修、1971年5月10日 初版発行、『天然記念物事典』、第一法規出版
  • 白井光太郎、1929年12月26日 発行、『天然紀念物調査報告 植物之部 第9輯』、文部省 全国書誌番号:46064858
  • 大和田智夫・菊地清治、1986年12月1日 発行、『常陽藝文(12月号)特集・茨城の天然記念物』、財団法人 常陽藝文センター 全国書誌番号:00040665

関連項目

外部リンク

座標: 北緯36度23分15.5秒 東経140度27分35.1秒 / 北緯36.387639度 東経140.459750度 / 36.387639; 140.459750



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「白旗山八幡宮のオハツキイチョウ」の関連用語

白旗山八幡宮のオハツキイチョウのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



白旗山八幡宮のオハツキイチョウのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
文化庁文化庁
Copyright (c) 1997-2025 The Agency for Cultural Affairs, All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの白旗山八幡宮のオハツキイチョウ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS