甲斐享
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 02:32 UTC 版)
甲斐 享(かい とおる)は、テレビ朝日系でシリーズ化されている刑事ドラマ『相棒』の主人公の一人。右京の三代目相棒。恋人と旅行に来ていた香港にて偶然右京と遭遇、そのままとある事件に共に関わり、解決後は右京に引き抜かれる形で特命係に配属された。トラブルに巻き込まれやすく、特命係へ異動した後は様々な災難に巻き込まれている。
演 | 成宮寛貴[1][2](S11-1〜S13-最終話 / S15-最終話〈回想〉 / S17-1〈回想〉、2〈回想〉、19〈回想〉 / S22-10〈回想〉)(少年期:橋爪龍〈S12-9〉[注 1]/ 青年期:上田晟人〈S13-最終話〉) |
年齢 | 29[注 2] |
階級 | 巡査部長[3] |
出身地 | 東京都港区芝 |
経歴 |
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親族 | |
特技 | 絶対音感(S11-1)[注 3] |
好きなもの | 炭酸飲料 |
苦手なもの | 幽霊 |
経歴
2005年に大学を卒業してノンキャリアとして警視庁に入庁、交番勤務を経て署長推薦の選抜試験に合格し中根警察署刑事課捜査一係に配属された。念願の刑事になった直後の香港旅行中、日本大使館での拳銃暴発事故に遭遇し、偶然知り合った右京と共に事件解決に奔走する。その際右京に警察官としての価値を認められ、彼直々の要望を受けて特命係へと引き抜かれた(S11-1)。
ダークナイト事件
特命係に在籍中、親友の妹を殺した容疑者が心神喪失で不起訴処分になった際、妹の仇を討たんとする親友の犯行を止めるべく、自ら容疑者を襲撃して死なない程度の傷を負わせる。
それをネット上で賞賛された事で以降警察の追及を逃れた犯罪者たちに制裁を下す暴行犯「ダークナイト」として2年に渡り犯行を重ねるようになる[4]。
最終的には右京に真実を突き止められる[5]。懲戒免職となった。(S13-最終話)
動機に「世間からの賞賛が気持ちよかった」とは言うが自身でも判然としていない。また峯秋は右京への対抗心によるものではないかと推察している。
現在も服役中で、息子である結平への影響を懸念し悦子との婚姻届提出を拒み続けている(S22-10)。
性格
御曹司という出自とは裏腹に、荒っぽく血の気の多い性格。峯秋との親子仲は冷えきっている一方、侮辱する発言には激怒するなど複雑な感情を抱いている様子。子供の頃に見ていた刑事ドラマの影響で刑事課への憧れは強く、特に捜査一課配属を目指している事から、他の歴代相棒とは異なり捜査一課の面々を素直に慕っている(S11-2など)。特に芹沢には可愛がられており、情報提供のやり取りを頻繁に行っている。伊丹らとは特段仲が良いわけでも悪いわけでもなく、概ね対等に接している。
一人称は「僕」または「俺」。二人称は、「あなた」だが性格が荒れると「あんた」に変わる。父親である甲斐峯秋のことは基本的に「親父」と呼んでいる。右京については、後述参考。
捜査・仕事振り
やや感情的な言動が目立ち[5]、自分を挑発してきたり、反省の色が見られない人物に激昂して掴みかかり、右京などに止められることもある。
さらには迂闊なミスから取り返しのつかない事態を引き起こすなど、大きな失敗をする事もあった(S11-3、最終話)。
しかし、自分の失敗にしっかりと向き合い、忘れずにいようとする意識も持っており、良くも悪くも素直な性格である。
また、歴代の特命係員の中で唯一被弾したことがある(S12-最終話)。
能力
若年ながら細かな事にも気付く優れた観察力を持ち、勘も非常に鋭い。不測の事態に陥った場合を除き(S12-10)、車の運転は普段は右京や悦子に任せている。また幼少期に親の命令で強制的にピアノを習っていたことで、絶対音感になり、耳がいい。
右京との関係
右京のことは「杉下さん」と呼ぶ[注 4]。右京からはあだ名で「カイトくん」と呼ばれているが、公的な場では「甲斐くん」と呼ばれる事もある(S11-4、S12-10)。香港で右京と邂逅して当初は、その変人ぶりに辟易して悪態をついたり特命係配属への不満を露骨に示していた他、個人的感情を排し冷徹に事件の真相を追求する右京に対し反発する事もあった。それでも数々の事件に関わって右京の能力と正義感を認めるようになり「最強の味方」と吐露する程の信頼を寄せるまでになった(S12-10)。右京もそんな享が秘める正義感を以て「警察官にとって一番必要なものを持っている」と改めて評価し、互いに信頼し合える相棒関係を築き上げていった。感情的な言動が鳴りを潜めてからは生来の刑事としての資質を遺憾なく発揮し右京の右腕として活躍していた。
現実世界での扱い
右京が一度若い者と組むのが良いということで、30歳(撮影開始当時)だった成宮寛貴が起用された[6]。
キャラクター背景
水谷は成宮演じる享からは色気を感じていて、男同士の何かを感じさせるものがありつつも、若さゆえの葛藤や揺れ動く様を見せる姿が自分の若いころに通じる不安定さがあったとも話している[7]。
反響・評価
ねとろぼ調査隊が2024年に行った「相棒」の登場人物人気ランキングでは第7位であった[8]。ダークナイト事件による降板は右京の演者である水谷豊にとっても視聴者にひんしゅくを買ったと認めており人は極限までいくことがあるという話を、ものすごく納得して演じていたという[9]。また初登場時から右京はあまりそっけない態度は取らず、それまでの相棒たちにはなかった優しい対応も見せ最初からあだ名で呼ぶなどが印象的である。一見するとヤンキーのようだが刑事としての強い正義感と高い能力を持ち右京にはなかなかできない所をカバーしていた。演者の成宮寛貴が俳優業を引退したこともあり、享がその後登場したのは回想シーンのみだがその度にSNSでは大きな反響を呼んだ。享は、事件に巻き込まれやすい体質だったが、それがしっかりと息子・桔平にも受け継がれているとも評価されている。[10]。
脚注
注釈
出典
- ^ “10月スタート『相棒11』、成宮寛貴の役名は「甲斐享」”. ORICON NEWS. (2012年8月13日) 2023年2月23日閲覧。
- ^ “成宮寛貴、3代目『相棒』3年で卒業「最後まで悔いのないように」”. ORICON NEWS. (2015年2月4日) 2023年2月23日閲覧。
- ^ キャスト|相棒 season13 - テレビ朝日(アーカイブ)
- ^ “ドラマ「相棒」反町隆史の卒業で注目集まる“元相棒”成宮寛貴の存在”. ZAKZAK (2021年11月26日). 2023年2月23日閲覧。
- ^ “水谷豊が明かす“寺脇降板”秘話 「いつまでも居ちゃだめだ」とアドバイスした理由とは(5ページ目)”. デイリー新潮 (2022年8月20日). 2024年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月24日閲覧。
- ^ “水谷豊が語る相棒たちの素顔。成宮寛貴に感じた“色気”と反町隆史が見せた“涙”「若い時とダブるところがあったんです」”. テレ朝POST (2023年3月14日). 2024年3月11日閲覧。
- ^ “「相棒」の登場人物人気ランキング! 第2位は「神戸尊」、1位は? | ドラマ ねとらぼ調査隊”. ねとらぼ調査隊 (2024年3月13日). 2024年3月22日閲覧。
- ^ “水谷豊が明かす“寺脇降板”秘話 「いつまでも居ちゃだめだ」とアドバイスした理由とは(5ページ目)”. デイリー新潮 (2022年8月20日). 2024年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月24日閲覧。
- ^ “『相棒』“3代目相棒”甲斐享、今なお人気の理由は? 元日スペシャルに関係者が集結”. デイリー新潮 (2024年1月1日). 2024年3月26日閲覧。
甲斐享
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 07:20 UTC 版)
3代目相棒の甲斐享役としてseason11より成宮寛貴が起用された。元々は2年の約束だったものを水谷や制作陣の申し出により1年延長してもらい、season13 最終話をもって卒業した。
※この「甲斐享」の解説は、「相棒」の解説の一部です。
「甲斐享」を含む「相棒」の記事については、「相棒」の概要を参照ください。
甲斐享(かい とおる)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 08:09 UTC 版)
「相棒の登場人物」の記事における「甲斐享(かい とおる)」の解説
演 - 成宮寛貴(S11-1〜S13-最終話 / S15-最終話〈回想〉 / S17-1〈回想〉、2〈回想〉、19〈回想〉)(少年期:橋爪龍〈S12-9〉/ 青年期:上田晟人〈S13-最終話〉) 右京の三代目相棒。恋人と旅行に来ていた香港にて偶然右京と遭遇、そのままとある事件に共に関わり、解決後は右京に引き抜かれる形で特命係に配属された。経歴 早慶大学政治経済学部経済学科 → 警視庁中根警察署地域課 → 警視庁中根警察署刑事課強行犯係 → 警視庁特命係(S11-1〜S13-最終話) → 懲戒免職(S13-最終話) 階級 巡査部長 人物 1983年7月7日生まれ、東京都港区芝の出身で、警察庁次長の甲斐峯秋を父に持つ他、海外に母と兄がいる(S11-9)。また、客室乗務員の笛吹悦子と交際している。2005年に早慶大学政治経済学部経済学科を卒業してノンキャリアとして警視庁に入庁、交番勤務を経て署長推薦の選抜試験に合格し中根警察署刑事課捜査一係に配属された。念願の刑事になった直後の香港旅行中、日本大使館での拳銃暴発事故に遭遇し、偶然知り合った右京と共に事件解決に奔走する。その際右京に警察官としての価値を認められ、彼直々の要望を受けて特命係へと引き抜かれた(S11-1)。 薫以上のトラブル招聘体質であり、特命係への異動をはじめ、半殺しに遭わされ記憶喪失になった上(S11-9)、犯人グループの嘘の証言によって婦女暴行未遂犯にでっち上げられる(S11-10)、狙撃犯と間違われて特別指名手配される(S12-10)、スマートフォンを数回破損したり、果ては事件関係者に連絡先として電話番号を教えたらその関係者と繋がっていた主犯格から監視アプリを仕込まれて動きが筒抜けになってしまう(S11-最終話)などの様々な災難に巻き込まれている。また、右京を除いて特命係に所属していた刑事達の中で唯一被弾している(S12-最終話)。当初の予定ではこのシーンで殉職するという設定で、成宮寛貴はこのシーズンをもって「卒業」する予定であったが、スタッフや水谷の希望で、もう1シーズン相棒を務める事になった。そのため、当初の「殉職」から脚本が大きく変更され、結果として享は一命を取り留めている。 後述する観察力など警察官としては優秀であるが、その片鱗は右京との出会いより遡る事6年前、交番勤務の巡査時代に既に見せていた。ある晩、無線で傷害事件発生の報を受け現場へ急行するが、その途中不審な男性を発見する。犯人ではないかと疑うものの職務質問をせず、警察の規則に基づき、先の命令通り現場へ急行する事を優先するが、後にその男性こそが犯人であると判明。規則を順守した手前自身は処分を受けなかったものの、犯人を逮捕せずに野放しにした事を心から悔い、最後には自ら捜査し逮捕に至る。後日この事を感謝した被害者とその交際相手の結婚式に招待されるが、6年後に被害者が殺害されてしまう。過去の後悔と、事件関係者が殺害されるに至った事で冷静さを失い、殺人事件発生時に既に刑務所を出所していた6年前の犯人が再犯に及んだのかと疑うものの(もっともこの疑惑は享に限らず他の刑事たちも抱いていた)、右京に半ば一方的に、先の犯人とは異なる真犯人を含めた事件の真相を解明された(S11-6)。 服装 ノーネクタイにシャツ、ジレを愛用してジャケットを着用し、ボトムスにウールパンツかジーンズの格好がほとんどであるが、所轄時代やフォーマルな場ではスーツを着用しており、冬場にはネイビーのピーコートとグレーのダブルのポロコートを着用している。S13では髪型をオールバックに変更している。 性格 御曹司という出自とは裏腹に言動は荒っぽく血の気の多い性格。やや感情的な言動が目立ち、挑発的な言動をとる相手や反省の色が見られない相手に対しては、激昂して掴みかかるなど手荒な態度に出て、右京などに止められるシーンもある他、迂闊なミスから取り返しのつかない事態を引き起こすなど、失敗をする事もあった(S11-3、最終話)。しかし、自分の失敗にしっかりと向き合い、忘れずにいようとする意識も持っており、良くも悪くも素直な青年である。特命係で過ごすうち言動にも落ち着きが出てくるようになった。若年ながら細かな事にも気付く優れた観察力を持ち、勘も非常に鋭い。 峯秋との親子仲は冷えきっている。父親の話題を出されると途端に不機嫌になる等峯秋を嫌っている節も見られるが、他人の峯秋に対する侮辱には怒りを見せる事もあり(S12-1)、複雑な感情を抱いている様子。 子供の頃見ていた刑事ドラマの影響で刑事課への憧れは強く、特に捜査一課配属を目指している事から薫や尊に比べて捜査一課との間に敵対意識がない。芹沢にも可愛がられており、情報提供のやり取りを頻繁に行っている。三浦や伊丹とも特別仲が良いわけではないものの、概ね対等に接している。 趣味嗜好 幼少期にピアノを習った経験から絶対音感を持つ(S11-1)。幽霊といったオカルトの類には苦手意識があり、右京が幽霊の話をする度に本気で嫌がる(S11-7、10)。コーラを好む。不測の事態に陥った場合を除き(S12-10)、車の運転は普段は右京や悦子に任せている。パソコンはMacBook Pro Retina、S13よりMacBook Airを愛用している(いずれも13インチ)。 右京との関係 右京のことは「杉下さん」と呼ぶが、1度だけ「右京さん」と発言した事がある(S12-13)。一方で、右京からはあだ名の「カイトくん」と呼ばれているが、公的な場では「甲斐くん」と呼ぶ事もある(S11-4、S12-10)。 香港で右京と邂逅して当初は、その変人ぶりに辟易して悪態をついたり特命係配属への不満を露骨に示していた他、個人的感情を排し冷徹に事件の真相を追求する右京に対し反発する事もあった。それでも数々の事件に関わって右京の能力と正義感を認めるようになり「最強の味方」と吐露する程の信頼を寄せるまでになった(S12-10)。右京もそんな享が秘める正義感を以て「警察官にとって一番必要なものを持っている」と改めて評価し、互いに信頼し合える相棒関係を築き上げていった。感情的な言動が鳴りを潜めてからは生来の刑事としての資質を遺憾なく発揮し右京の右腕として活躍していた。 ダークナイト事件により懲戒免職 しかし、特命係に在籍中(S11-最終話からS12開始までの間)、親友の妹を殺した容疑者が心神喪失で不起訴処分になった際、妹の仇を討たんとする親友の犯行を止めるべく、自身の手で容疑者を襲撃し、死なない程度の傷を負わせる。それがきっかけとなって、警察の追及を逃れた犯罪者たちに制裁を下す暴行犯「ダークナイト」として2年に渡り犯行を重ねるようになってしまう。模倣犯の出現を機に、右京と共に捜査に着手するが、その陰で自分とは異なり被害者への過剰な暴力で相手を死に至らしめた模倣犯(模倣犯自身は自分こそがダークナイトであると右京や享に語るも、享は彼が被害者を死なせたことから「人を痛めつけることに慣れていないと、勢い余って相手を死なせることになる」と指摘した)への憤りから、一旦は逮捕した模倣犯を密かに脱走させた上で自身のアリバイ作りも兼ねて、自身が右京と行動を共にしている間に先述の親友に模倣犯を死なない程度に痛めつけさせることで「これで自分は杉下さんから真犯人だと疑われることは無い」との目論見であったが、最終的には右京に真実を突き止められる。この時、「杉下さんも人間だから、推理でミスもするだろうと思っていたけど、甘かった」と自嘲する発言をし、さらには潔く、自宅に保管していた犯行時に着用していたフード付きのパーカーという証拠物件(劇中で公開された防犯カメラが捉えた映像の中に、このパーカーを着用した享の姿があった)を見せ、峯秋の意を受けた大河内の介入によって即時逮捕とはならなかったものの懲戒免職となることが事実上確定した(S13-最終話)。 仇討ちに留まらず犯行を重ねた心境については自身でも判然としておらず「世間からの賞賛が気持ちよかった」旨を述べており、また峯秋は右京への対抗心が享を「ダークナイト」へと追い込んだのではないかと推察している。逮捕後峯秋の計らいにより「実況見分」の名目で、イギリスへ旅立つ右京を涙を浮かべながら見送った。
※この「甲斐享(かい とおる)」の解説は、「相棒の登場人物」の解説の一部です。
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