生物と水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 17:47 UTC 版)
生物体を構成する物質で、最も多くを占める物質は水である。核や細胞質で最も多い物質でもあり、細胞内の物質を代謝する際の媒体としても利用されている。通常、質量にして生物体の70 % – 80 %が水によって占められており、そのうちわずか数パーセントでも不足すると生命活動に不都合が現れる場合がある。 生きている細胞には(理想的な溶媒である)水が多く含まれており、生命現象を司る化学反応の場を提供し、また水そのものが種々の化学反応の基質となっている。体液として、体内の物質輸送や分泌物、粘膜に用いられる。また高分子鎖とゲル化することで体を支える構造体やレンズにも利用されている。クマムシのように厳しい環境にも耐えられる生物は、体内の水分を放出し、不活性な状態を作り出すことができる。 なお、「生物は太古の海で誕生した」とされることがある。生物の化学組成と海水の組成が似ていることもその説の根拠の1つである。地上の生物もその先祖をたどれば水中生活を送っていた、とされる。 陸上のように、常に水に浸かっていない環境では、生物にとって最も重要な問題の1つが水の確保である。陸上の無脊椎動物では、周囲が湿っていなければ活動できない種も多い。陸上生物に見られる進化的形態の多くが、水の確保や自由水が限られた環境への適応である。クマムシの場合も、頻繁に乾燥にさらされる環境への適応として、休眠の能力が発達したと考えられている。
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