生存者の刺し口
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 15:15 UTC 版)
佐々たちは沢田古老の案内で、以前に「ほっぱん」に罹ったという伊田地区内の女性を訪ねた。1942年(昭和17年)の堤防工事で罹患した3名の女性のうち、たった1人助かった女性である。刺し口の痕を調べると彼女のへそには明らかな「刺し口」の痕跡が残っていた。 もう1人は「沢田メモ」には記載されていない事例であったが、15歳の少年が3年ほど前に罹患し助かったケースである。調べてみると彼の左腋近くの胸部付近に見事な痕跡が残っていた(右画像参照)。 ここまでの臨床所見があればツツガムシ病にまず間違いないと考えられるが、研究者としては確実なデータを確保する必要があった。 ツツガムシ病の存在を証明するためには、 生存者の血清からツツガムシ病の抗体を確認すること。 地区内でツツガムシが生息するのを確認し、かつそのツツガムシの個体がリケッチアを保有していること。 この2点の確認が必要であった。 佐々らは生存者たちの血液を採取し、持参した顕微鏡を使ってワイル・フェリックス反応を用いた血清の凝集反応を調べると、予想通りプロテウス属のOX-K株の反応が見られ、これでツツガムシ病の陽性反応が確認された。続いてツツガムシの生息調査が行われた。リケッチアを媒介するツツガムシの幼虫は、ノネズミなどの耳の穴に寄生しているケースが多い。佐々たちは伊田地区の民家、河川敷、畑などの各所にねずみ捕りを仕掛けて様子を見ることにした。
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