狸憑と人殺し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/14 01:57 UTC 版)
妖怪変化の怪奇譚など遠い昔の迷信と思われた1979年(昭和54年)の日本で、狸憑の俗信を原因とする殺人事件が現実のものとなった。熊本県芦北郡芦北町で、20歳代の男性が同年3月から高熱を出したり意味不明の言葉を口走ったりするようになったために職場を退職し、自宅療養を開始。母親が祈祷師に診てもらったところ「狸が憑いている」とのことだった。同年5月、奇行を繰り返す男性に対して両親、姉、弟の4人は「狸を追い出すには叩き出すしかない」と話し合い、弟が男性を取り押さえ、父と姉が3時間にわたって男性を殴り続けた挙句、男性は死亡した。この一家4人は同月に傷害致死の疑いで緊急逮捕されている。ノンフィクションライター礫川全次は、話に出てくる祈祷師が憑き物の診断を下しながらその憑き物を落とす処置を行った形跡がないことを指摘し、憑き物の知識に乏しい祈祷師が無責任な診断を下し、それを信じた家族が、どこかで聞きかじった憑き物落としをしてしまったというのが本事件の真相ではないかと述べている。
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