熱い残存粒子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 05:45 UTC 版)
時刻 x f ≲ 1 {\displaystyle x_{f}\lesssim 1} にこの粒子が脱結合したとすると、それ以降 Y ( x ) = n χ ( x ) / s ( x ) {\displaystyle Y(x)=n_{\chi }(x)/s(x)} は近似的に保存する(これを「凍結 (freeze out)」と表現する)。そこで現在の宇宙での値と脱結合の瞬間での値を等置する。 n χ ( x f ) s ( x f ) = n χ 0 s 0 {\displaystyle {\frac {n_{\chi }(x_{f})}{s(x_{f})}}={\frac {n_{\chi 0}}{s_{0}}}} 相対論的な粒子の数密度の表式 n χ = g χ ′ ζ ( 3 ) k B 3 π 2 ℏ 3 c 3 T 3 {\displaystyle n_{\chi }=g'_{\chi }{\frac {\zeta (3)k_{\mathrm {B} }^{3}}{\pi ^{2}\hbar ^{3}c^{3}}}T^{3}} およびエントロピー密度の表式 s ( x ) = g ∗ S ( x ) 2 π 2 k B 4 45 ℏ 3 c 3 T 3 {\displaystyle s(x)=g_{*S}(x){\frac {2\pi ^{2}k_{\mathrm {B} }^{4}}{45\hbar ^{3}c^{3}}}T^{3}} を代入すると、左辺の値は Y f := 45 ζ ( 3 ) 2 π 4 k B g χ ′ g ∗ S ( x f ) {\displaystyle Y_{f}:={\frac {45\zeta (3)}{2\pi ^{4}k_{\mathrm {B} }}}{\frac {g'_{\chi }}{g_{*S}(x_{f})}}} と評価される。 現在の宇宙では粒子 χ {\displaystyle \chi } は非相対論的であると仮定すると、その現在のエネルギー密度は ρ χ 0 c 2 = m χ c 2 n χ 0 = m χ c 2 s 0 Y f {\displaystyle \rho _{\chi 0}c^{2}=m_{\chi }c^{2}n_{\chi 0}=m_{\chi }c^{2}s_{0}Y_{f}} と書ける。従って、粒子 χ {\displaystyle \chi } の密度パラメータ Ω χ 0 {\displaystyle \Omega _{\chi 0}} は Ω χ 0 = 2 × 8 π G ρ χ 0 3 H 0 2 = 16 ζ ( 3 ) 3 π G m χ ℏ 3 c 3 g ∗ S 0 ( k B T 0 ) 3 H 0 2 g ′ g ∗ S ( x f ) {\displaystyle \Omega _{\chi 0}=2\times {\frac {8\pi G\rho _{\chi 0}}{3H_{0}^{2}}}={\frac {16\zeta (3)}{3\pi }}{\frac {Gm_{\chi }}{\hbar ^{3}c^{3}}}g_{*S0}{\frac {(k_{\mathrm {B} }T_{0})^{3}}{H_{0}^{2}}}{\frac {g'}{g_{*S}(x_{f})}}} により与えられる。なお係数 2 は反粒子 χ ¯ {\displaystyle {\bar {\chi }}} の寄与を考慮することを表す。CMB温度 T 0 {\displaystyle T_{0}} およびハッブル定数 H 0 {\displaystyle H_{0}} の観測値を代入すると Ω χ 0 = 0.15 h − 2 g ′ g ∗ S ( x f ) ( m χ c 2 1 e V ) {\displaystyle \Omega _{\chi 0}=0.15h^{-2}{\frac {g'}{g_{*S}(x_{f})}}\left({\frac {m_{\chi }c^{2}}{1\,\mathrm {eV} }}\right)} という結論を得る。
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熱い残存粒子
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熱い残存粒子が現在の宇宙に非相対論的な粒子として存在するならば、それはホットダークマターとして知られるタイプの暗黒物質として振る舞うが、その存在は宇宙論的観測によって棄却されている。そのため、熱い残存粒子の密度パラメータは現在の暗黒物質の量 Ω c 0 = 0.2582 {\displaystyle \Omega _{c0}=0.2582} に比べて十分小さい必要があり、このことから熱い残存粒子の質量 m χ {\displaystyle m_{\chi }} に上限が与えられる。例えばニュートリノの場合、この考察から m ν ≪ 10 e V {\displaystyle m_{\nu }\ll 10\,\mathrm {eV} } という制限が得られる。ただしこの種の制限は g ∗ ( x f ) {\displaystyle g_{*}(x_{f})} の値を通じて断面積の大きさに依存し、断面積が小さく g ∗ ( x f ) ≥ 106.75 {\displaystyle g_{*}(x_{f})\geq 106.75} で凍結する場合には熱い残存粒子の質量の上限は 10 e V {\displaystyle 10\,\mathrm {eV} } 程度まで緩和される。
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