無脊椎動物の神経節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 16:45 UTC 版)
「膜電位感受性色素」の記事における「無脊椎動物の神経節」の解説
ニューロン活動の多チャネル同時測定は、Cohenの研究室で、まず巨大フジツボの神経節 (supraesophageal ganglion) に適用することから始められた (Salzberg, et al, 1977) 。これは、下等動物の行動、学習の神経機構解析を目指したものである。下等動物の神経節を構成するニューロンの数は比較的少なく、それらのほとんどすべてのニューロンから光学的方法で電位活動を同時記録することも可能である、というCohenの考えに基づいている (Boyle, et al, 1983)。Cohenのグループが、巨大フジツボに続いて取り上げたのはNavanax (軟体動物 後鰓類)の口球神経節 (buccal ganglion) である。神経節をoxonol系色素 (RH155) で染色し、Navanaxの食餌中の電位活動を、神経節内の128カ所の領域から同時測定した (London, et al, 1987)。この実験で、Navanaxの口唇の動きに伴って22個のニューロンから活動が記録されている。これは、動物の行動に伴う中枢神経系のニューロン活動の最初の記録である。もう1つは、アプリシア(英語版)のえら引っ込め反射 (gill-withdrawal reflex) が取り上げられている (Zecević, et al, 1989)。これは Eric Kandelら (Kupferman, et al, 1988) が詳細に調べているが、Cohenらの研究は、このアプリシアのえら引っ込め反射に関する神経回路網とその動的神経機構を解析することがそのねらいである (Cohen, et al, 1989)。サイフォン、えら、および腹部神経節を含む神経系を付けたままで切り出した標本で、サイフォンに軽い機械的な刺激を加えると、えらの運動が引き起こされる。この運動をビデオテープに撮りながら、一方で腹部神経節内のニューロン活動を多数部位から同時記録するという方法である。12×12-素子photodiode arrayでニューロン活動を同時記録して、えら引っ込め反射時は、これまでに示唆されているよりはるかに多くのニューロンが活動していることを示した。さらに慣れ (habituation) および感作 (sensitization) に伴うニューロン活動の記録で、急性的に感作された神経節内で、えら引っ込め反射に伴って活動するニューロンの数は250から400個ぐらいと見積もっている。
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