無心定(無想定と滅尽定)および九次次第
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 06:41 UTC 版)
「定」の記事における「無心定(無想定と滅尽定)および九次次第」の解説
無心定には、無想定と滅尽定とがあり、いずれも心・心所を全く滅する定である。四禅(四静慮)・四無色・滅尽の九定は、異心をまじえずに次第を追って順次に修得するときは九次次第、無間禅と名付けられる。 四禅と四無色定の上に、滅尽定(nirodha-samāpatti)すなわち、想受滅定(saññā-vedayita-nirodha-samāpatti)があり、九次第定と呼ばれる。 無想定は、凡夫や外道が無想の状態を真の悟りと誤認して修めるものであるが、滅尽定は、聖者がその定の境地を無余涅槃界の静けさになぞらえて修めるものである。無想定では、第四の禅定にもとづき知覚の粗いはたらきがなくなり、滅尽定(nirodha-samāpatti)では、有頂天にもとづき心と心所法は決められた間において止滅する。 九次第定とは、パーリ語仏典では9つの定を置く形で説明が保たれており、第一禅定、第二禅定、第三禅定、第四禅定、空無辺処(定)、識無辺処(定)、無所有処(定)、非想非非想処(定)、想受滅となり、この最後だけが釈迦が初めて到達した仏教に特徴的な定だとされる。大般涅槃経では、釈迦は入滅にさいして第一禅定と想受滅のあいだを上下し、第四禅定から出定したのち般涅槃に入ったとされている。藤本晃は、滅尽定は煩悩を滅して心を完全に清らかにした阿羅漢でなければできない禅定であり、凡夫の禅定者にとっては非想非非想処定が最高の境地であると述べている。
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