湿原の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 00:15 UTC 版)
1万年前までの氷期には、地球上の水が氷河として大量に地上に堆積したため海水量が減って海水面が低下し、釧路湿原一帯も完全に陸地化していた。その後、気温が上昇して海水面が上昇した。約6000年前には気候が現在より温暖化し、海水面も今より2から3m高くなった(詳しくは縄文海進を参照)。当時、釧路湿原一帯は大きな浅い湾を形成し、気温も現在より平均2℃から3℃高く、現在の東北地方と似た気候であった。湿原周辺に存在する当時の貝塚からはハマグリやシオフキなどの貝殻が見つかっており、これらは現在は宮城県以南に生息している種である。 その後、気温の低下にしたがって海水面も低下し、4000年前には現在の海岸線が形作られた。釧路湿原では湾口部に砂洲が発達し、内陸部は水はけの悪い沼沢地になった。沼沢地に生い茂ったヨシやスゲが冷涼多湿な気候下で泥炭化して湿原が形成され、約3000年前に現在のような湿原になった。北海道にあるサロベツ原野や霧多布湿原も、同じ経緯で形成された。 早い時期における和人の来訪としては幕末の1858年、松浦武四郎が幕命による調査で釧路川を下り、湿原を縦断している。
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