湿地と伝染病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/24 17:53 UTC 版)
カルタゴがカマリナを略奪する少し前、カマリナに謎の病気が蔓延した。カマリナの北方には湿地帯があり、これが北方からの敵の侵攻を防御していたが、この湿地が疾病の原因ではないかと考えられた。このため、湿地を排水して乾燥させることにより、病気は沈静化するとの考えた広まった(細菌説が提唱されるはるか前の話であるが、沼地と疾病の関連性は既に考えられていた。例えばエンペドクレスは湿地帯を乾燥させてセリヌスを救っている)。神託を問うたところ、病気は時ととも収まるので排水の必要はないとのことであった。しかし不満は広がり、街の指導者は神託に反して排水を行うことを決定した。湿地が乾燥されると、当然ではあるがカルタゴ軍を阻止するものは無くなってしまった。このため、カルタゴ軍が接近すると、シュラクサイのディオニュシオス1世は街の放棄を命じた。カルタゴ軍は乾燥したばかりの湿地を通って街に侵攻し、残留していた住民を殺して略奪した。 この湿地を乾燥させた話は、ストラボン(紀元前64年頃 – 24年頃 )が伝えており、またカール・セーガンもその著書『惑星へ』で紹介している。他方、この話は「恐怖や神託を無視しての行動は、多くの場合改善しようとした問題を悪化させる」例として、後世の作家が教訓として伝えている。
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