湿り空気の状態を表す物理量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 03:01 UTC 版)
「湿り空気」の記事における「湿り空気の状態を表す物理量」の解説
標準状態(大気圧かつ常温)付近ではかわき空気も水蒸気も理想気体と考えて差し支えなく、それらの混合気体である湿り空気も理想気体とされる。標準気圧下で乾球温度 td と(重量)絶対湿度 x とが与えられた時、他の物理量は以下のように計算される。ただし温度はセルシウス度とする。 比エンタルピーh水蒸気のエンタルピーは0°Cの飽和水のそれを基準値 0 とし、「0℃から飽和蒸気温度まで液体水を過熱する熱量」+「飽和蒸気温度の飽和水から飽和蒸気にするまでの蒸発潜熱」+「飽和蒸気から与えられた温度の蒸気にするまでの顕熱」で求められるが、通常は「0℃の飽和水を0℃の飽和蒸気にする蒸発潜熱ΔH(約2500 kJ/kg)」+「0℃の飽和蒸気を与えられた温度の蒸気にするための顕熱」で近似される。したがって湿り空気のエンタルピーは次式で計算される。 h = c a i r t d + x ( c v a p o r t d + Δ h ) {\displaystyle h=c_{\mathrm {air} }t_{\mathrm {d} }+x(c_{\mathrm {vapor} }t_{\mathrm {d} }+\Delta h)} ここでcair, cvaporはそれぞれ空気、水蒸気の比熱 水蒸気圧evドルトンの法則より次式が導かれる。 e v = p 0 x R v a p o r R a i r + x R v a p o r {\displaystyle e_{\mathrm {v} }=p_{0}{\frac {xR_{\mathrm {vapor} }}{R_{\mathrm {air} }+xR_{\mathrm {vapor} }}}} ここでRair, Rvaporはそれぞれ空気、水蒸気の気体定数、p0は大気圧 比容積v理想気体の状態方程式を用いて、温度 td を絶対温度に直すことで比容積が計算できる。 v = ( R a i r + x R v a p o r ) ( t d + 273.15 ) / p 0 {\displaystyle v=(R_{\mathrm {air} }+xR_{\mathrm {vapor} })(t_{\mathrm {d} }+273.15)/p_{0}} 相対湿度φ ϕ = e v e s v ( t d ) {\displaystyle \phi ={\frac {e_{\mathrm {v} }}{e_{\mathrm {sv} }(t_{\mathrm {d} })}}} ここでesv(td)は湿り空気の乾球温度に対応する飽和水蒸気圧であり、アントワン式やTetens式、JIS Z 8806などで各種の実験式が提案されている。 湿球温度tw湿球温度twは次のSprungの式より逆算する。 e v = e s v ( t w ) − A p 0 ( t d − t w ) {\displaystyle e_{\mathrm {v} }=e_{\mathrm {sv} }(t_{\mathrm {w} })-Ap_{0}(t_{\mathrm {d} }-t_{\mathrm {w} })} ここでA は乾湿計係数であり、おおよそ水の比熱を蒸発熱で割った値として求められる(ルイスの関係#応用を参照)。
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