水付加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/01 21:51 UTC 版)
これはオレフィンより工業的にエタノールを製造する上で重要なプロセスである。この反応はより複雑で、硫酸などの酸を触媒として用いる。塩化水素の付加と同様に進行するが、 OSO3H 基が OH 基と置き換わってアルコールを与える段階が加わる。 CH 2 = CH 2 + H 2 O ⟶ CH 3 CH 2 OH {\displaystyle {\ce {CH2=CH2 + H2O -> CH3CH2OH}}} 硫酸は最終生成物には含まれないが反応に関与するため、間接的水和法とも呼ばれる。 反応の機構は以下のようなものである。 硫酸 (H−OSO3H) の水素原子が δ+ の電荷を帯び、上記の塩化水素の反応と同様にして二重結合にひきつけられ、反応する。 生成した −OSO3H イオンが炭素原子に付加し、硫酸水素エチルが生成する。 反応混合物に水 (H2O) を加えて熱するとエタノール (CH3CH2OH) が生成し、水から代わりの水素原子が与えられて硫酸が再生する。 この過程によって1分子の水が1分子のエチレンに付加し、エタノールとなる。中間体のカルボカチオンに対し、水分子が直接付加してエタノールに変わる経路も共存する。置換基を持つアルケンの場合はマルコフニコフ型付加物のアルコールが得られるが、中間体のカルボカチオンが転位した生成物を与えることもある(ワーグナー・メーヤワイン転位も参照)。 酢酸水銀(II) をアルケンに付加させたのち水素化ホウ素ナトリウムで処理すると、マルコフニコフ型付加物のアルコールが選択的に得られる。
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