殻皮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 05:10 UTC 版)
カタツムリの表面にはキチン質で構成された殻皮(かくひ)と呼ばれる薄膜があり、石灰質でできた殻の表面を覆っている。殻皮はカタツムリに限らず貝類のほとんどの種類に存在し、石灰質の殻本体を腐食から保護するのが基本的な役目であるが、カタツムリではそれに加え汚れが付き難くする役目、彩色することにより殻を背景にとけ込ませる保護色の役目などを合わせもつとされる。 殻皮の表面には細かい凹凸や規則正しい微細なディンプルが無数に存在し、接着面積を少なくすることによって、殻皮に付着したゴミや汚れなどを雨で洗い落とす効果があり、その結果カタツムリは殻表をいつも美しく清潔に保っているとされ、この構造にヒントを得た防汚効果のある建物の外壁などが開発されている。またフィリピンのタニシマイマイ類などには、二重構造の殻皮をもつことで日照時と降雨時の色や模様が変化し、鳥等の外敵から見つかり難くする効果を得ているとされる種類も知られている。 さらに殻皮が一部が変化して毛状になっている種類が世界中のいろいろな科に見られるが、その機能についてはよく分かっていない。欧州の Trochulus 属のカタツムリでは、水分の多い環境に棲む種は特に毛が発達する傾向が見られることから、濡れた殻が他物に吸着するのを防ぐためのものではないかとの説が出されている。日本産ではシワクチマイマイ類やビロウドマイマイ類などが多数の毛に覆われた殻をもつ。またナンバンマイマイ科のオオケマイマイなどの殻の周囲にも殻皮が伸びた毛が見られる他、ヤマタニシ科のヤマトガイ類は長い毛を持つものが多いが、これらは老成すると脱落している場合が多い。
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