歌唱論・歌手観
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 03:39 UTC 版)
藤山は、日本語の発音に厳しいことで知られた。有名な逸話として、言語学者の金田一春彦は、紅白歌合戦で『蛍の光』が唄われる際に指揮者を務めた藤山が、歌い出しの部分を「アクセントに合わないフシがついている」という理由で自らは決して声を出して歌おうとしなかったことを挙げている(実際には東京12チャンネルの『なつかしの歌声』などの番組では歌唱している)。音名をイタリア式に発音する際も、「ラはlaで、レはre」だと厳密に発音を区別していた。金田一は、藤山の厳しさは言葉のアクセントに厳しい作曲家本居長世の家に出入りしていたことで培われたものだと推測している。 藤山はプロの歌手にとって重要なのは正式に声楽を習い基本的な発声を習得し、基本に忠実でしっかりとした発声により歌詞を明瞭に歌うことであり、技巧を凝らすのはその先の話であると述べている。 後輩歌手では、伊藤久男、近江俊郎、岡本敦郎、布施明、尾崎紀世彦、由紀さおり、芹洋子、倍賞千恵子、アイ・ジョージなどを「ただクルーンするだけでなく、シングも出来る両刀使いだから。」という理由で評価していた。 シンガーソングライターの矢野顕子は、NHKの軽音楽オーディションで、藤山の丘を越えてを歌唱した。審査員の一人であった藤山は、「素晴らしいピアノにのせて思い切った表現で歌われた。これにはビックリした。弾き語りと簡単に言うけどね、できるもんじゃないですよ。」と評価した上で、「もっともっとチャレンジして、若さはチャレンジだ。ぶつかっていって新しい形をこしらえて。あれでなけりゃいけないってことは無いと思うな」などと助言した。
※この「歌唱論・歌手観」の解説は、「藤山一郎」の解説の一部です。
「歌唱論・歌手観」を含む「藤山一郎」の記事については、「藤山一郎」の概要を参照ください。
- 歌唱論・歌手観のページへのリンク